◆ 360度評価の活用事例[3]

1)成功事例に共通していること

360度評価を導入し、期待通りの効果をあげている企業に共通していることとして、以下のことが挙げられます。

 

1)具体性のある実施目的を設定

大事なことは「具体的」であるということです。単に「管理職の強化」といった目的を設定するのではなく、「管理職と部下(特に若手社員)とのコミュニケーションを向上させ、部下の力を引き出すこと」など、具体的な課題を踏まえてどのように強化するのかを設定されています。

漠然とした目的の設定は、結果活用も漠然となりがちで、実際の行動改善につながりにくくなります。

 

2)複数観点からの実施結果の活用

個人報告書を対象者に単に返却して終わりではありません。

返却する際には、フィードバック研修や説明会を実施されています。特に初回実施においては、必須と言えます。

また、実施データの分析によって管理職の特徴・課題を明らかにし、向上させるための施策に展開されています。また、個々人の結果にも着目し、戦略的な異動配置などに活用されていることが多くみられています。

 

3)継続的に実施する仕組み

この取組みを一過性のイベントにとどまらせるのではなく、継続的に実施することで、対象者ならびに組織全体に「自分を振り返ること」「継続して行動改善する意識」そして何よりも「フィードバックし合える文化」を徐々に醸成していきます。
このことで、経営や人事部としての本気度も従業員に伝わっていくようです。


 2)失敗事例の原因

「期待して導入した割には、いまひとつ効果を感じなかった」

「実施したことで、現場が良くない雰囲気になってしまった」


弊社が導入支援した企業においてはそのような結果になってしまったことはありません。

しかし、弊社に問い合わせいただく企業の中には、過去実施したものの必ずしもうまくいっていないケースも少なくありません。
お話をお聞きする中で、上手くいかなかった理由として以下の原因があるように感じています。


1)「実施すること」が目的となってしまっている

「トップからの指示」によって実施したものの、そもそもの目的が曖昧であったために何となく終わってしまったというケースも聞かれます。

また、自社の課題に必ずしも適合していないやり方で、安易に実施されているケースも多いと言えるでしょう。
例えば、自社の課題を踏まえないまま「業者から提供されている汎用的な設問」をそのまま使って実施しても、課題解決につながりにくく、実施効果も高いとは言えません。

 


2)対象者への結果返却に力を入れていない

初めての導入にも関わらず、個人報告書の対象者への返却が、個人報告書と簡単な読み方手順書を社内便で送付しただけになっている会社も少なくありません。

人事部が簡単な説明会を実施されるケースもありますが、必要最低限の事務的な解説にとどまっている場合も見られます。

対象者にきちんとした説明を行わないことによって、個人報告書を受け取り、感情的になった対象者が部下を責めるなど、現場が混乱してしまった会社もありました。

個人報告書の返却方法が与える現場への影響とその重大さを気づいていない人事部の方もいらっしゃるようです。

個人報告書の返却方法は実施の成否を決めると言えるため、報告書返却については熟考すべきです。

 


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