◆「どうしたらフリーコメントがたくさん集まるでしょうか・・・」(前編)

先日、ある企業様より弊社ホームページに以下のようなご相談をいただきました。

「360度フィードバックを『周囲からの声で自分の実態に気づき成長につなげる』という目的で、昨年より管理職全員に導入しました。

フリーコメント(以下コメント)も収集しているが、とにかくコメント数が少ない。

実施効果を上げるためにもコメント数を増やしたいのですが何か良い方法はないでしょうか」

もう少し詳しい内容をお聞きすると、さらに以下のことがわかりました。

  • 以前にも研修のツールとして、部下や同僚など周囲のメンバーがアドバイスシートにコメントを記入して渡すというようなことをしたが、この時もそれほど多くは集まらなかった。
  • 「コメントを書くのは面倒だ、時間を取られて大変だ」という声もちらほら聞こえてくる。もちろん、中には愛に満ちた厳しいコメントを書く人もいるが、極めて少数派のようだ。
  • このようなことから、全社的に「他者に無関心」であったり、「他者に関わることが面倒」だと考える風土があるのではないかと感じている。

■人事担当者の考えた「対処」方法

少しでもコメント数を増やしたい、しかし回答者にとってコメントの記入は「面倒」「手間がかかる」「好意的に受け入れられていないもの」と考えた人事担当者は次のようなしくみ面での対策の導入を考えていることを話してくださいました。

A.コメントを必須記入とする

記入しないで回答を終了しようとすると、システム側からアラート≒注意が出るしくみを導入する

B.コメントを2問から1問に削減する

今まで:(1)「対象者の強みや良いところ」、(2)「対象者の課題や気づいてほしいこと」の2問

これから:「対象者の強みや課題などや気づいてほしいことを何でも記入してください」の1問

まずはコメント欄を1つに絞ったうえで、必ず何かのコメントを書いてもらうことで、コメント数を増やすとともに、対象者に意味がある結果がフィードバックされることをねらったようです。

また、強制的にでもコメントを書かせることを通じて、相手(対象者)に関心を持つ風土も高まるのではないかと期待されたようです。

■本当にこの対処方法がベストでしょうか・・・

ここまで読んでいただいた読者の皆さまであれば、どんなアプローチでお考えになられるでしょうか。

人事担当者の対処方法でいうと、「コメントの数」は増えるかもしれません。

しかし、ここで考えていただきたいのは、この対処方法で本当に実施効果が高まるのかということです。

「実施効果が高まる」とは、導入目的である『周囲からの声で自分の実態に気づく』が実現できることを指すと考えます。

コメントでいえば、その量も質も良いことが望ましいことになります。

「量」はコメントを必須回答としたので良いとして、「質」はどうでしょうか。

例えば、コメントを記入せずに回答を終了しようとした時に、「コメントは必記入です。記入の上、回答終了ボタンを押してください」といったアラート(注意)が出た場合、回答者の中には、やや不愉快に感じ、人によっては「ちぇっ」と舌打ちする方がいることも覚悟しておかねばなりません。

そうすると、気分的にも前向きなコメントを期待することは難しくなってきます。

さらに、360度フィードバック施策そのものへの満足度や評判を下げることにもなるかもしれません。

折しも、この話を別のお客様に差し上げた時に、「質の定義が難しいですね」という質問・意見をいただきました。

その場合は、まずは「そもそも、どんなコメントであれば質が高いと言えるのか?」ということを考え、その上で「そのためには、経営・人事サイドとして、どんな準備や働きかけをすればよいのか?」を考えていくことでヒントが見つかるでしょう。

なお、誤解のないように申し上げておくと、「コメントを必須とする」という施策自体はよくある有益な手段であり、間違ってはおりません。

大切なことは、

「コメントが少ない」→「コメントを必須にすればよい」

という「対症療法」では、解決し得ないこともあるということであり、

「本当に考えるべきかは何か(今回は実施効果)」を今一度見直してみましょうということでした。

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このコラムの後編(7月12日ごろを予定)では、このお客様がどのようにこの問題の解決に向けて進んでいかれたのかをお伝えしたいと思います。

楽しみにお待ちください。

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