◆「場の設定」をどのように工夫するのか? 〜360度フィードバックの実施効果を高める結果返却〜

これまでのコラムでも紹介していますが、360度フィードバックの導入を成功させるためには、「結果返却」は最も重要なプロセスの一つであると断言できます。

しかし時間や費用の制約からか、「イントラネットから対象者本人が結果をダウンロードする」ケースがそれなりにあります。

ただこのケース。必ずしもうまくいっていない会社が多いようです。

それは、結果への向き合い方・結果の活用度が、どうしても個人に依存し、「本当に結果を見て気づいて欲しい人に限って、結果をしっかり見ていない・活用していない」ということが起こりうるからです。

最初は誰でも自分の結果を見るのは怖いものです。

また、そもそも、360度フィードバックという手法に対して不安や疑念も大きいでしょう。

そんな中で、ダウンロードした結果が、一見して「自分の想像以上にひどいもの」に見えたり、「コメントも少なくて特徴がない」ように見えたら、さっと結果を見てフォルダーの奥底にしまいこんでしまうというようなことがあっても何ら不思議はありません。

そのために、「結果返却」をいかに工夫するのかが、成否の分かれ道でもあります。

その中でここ数年、特に感じているのは「場」をどのようにつくるのかということです。

「場」のつくり方によっては、対象者にとっての「気づきの効果」を高めるだけでなく、360度フィードバックの新たな可能性も生み出していきます。

「場」とは、何か?

代表的な「場」としては、これまでのコラムでも何度も取り上げたフィードバック研修が挙げられるでしょう。

「自身の結果に向き合い、現状に気づいた後に行動すべきことを決める機会」であるとも言えるでしょう。

フィードバック研修のように積極的な結果返却の機会を設けるのは、人事・事務局の皆さまからみると相当な労力に映るかもしれません。

一方で、このフィードバック研修は、対象者の360度フィードバックへの不安・疑念も取り除け、さらに自身の結果に向き合える貴重な機会ということもあり、実は満足度がかなり高いのも特徴です。

「360度フィードバックの結果に向き合う場を設けることは、『むしろ』手間をかける価値がある施策である」とも断言でき、「360度フィードバックは、『工夫を加えることで組織全体を変えていく力』を秘めているもの」とも言えるでしょう。

最近、工夫として考えていることの一つに「場」の足し算ということがあります。

「場」の代表格でもある“フィードバック研修”に、異なる「場」を加えるのです。

加える「場」としては、「職場報告会」、「個人面談」などがあるでしょう。

以下に、「職場報告会」について、その一部を紹介しましょう。

これは、その名の通り、フィードバック研修後、職場に戻り結果の報告会を行うというものです。

最近、弊社でも実施の支援を行うことも増えています。

目的は、以下の通りです。

①フィードバック研修などで考えた、結果を自分としてはどうとらえたか(納得感のあるところ、まだ受けとめきれないところ)や、今後の行動目標を周囲と共有することで、これからの自分の行動を職場メンバーに支援してもらう

②何よりも、忙しい時間を割いて回答してくれた上司や仲間に感謝の気持ちを伝える

「職場報告会」は単に研修の報告を行い、対象者の行動変容を促すだけのものではありません。

この「場」を通じて、職場のコミュニケーションが活性化につながる事例も少なくないのです。

「360度フィードバックによる職場報告会」は、組織開発の有効な手法であるとも言えるのです。

「たかが360度フィードバック」ですが「されど360度フィードバック」。

このツールの価値の広がりをご提供できる仕事を今後もしていきたいと思った秋の夜長でした。

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