◆マネジャーはどう頭を切り替え、時代に合わせた部下マネジメントをしていくべきか〜DeNA筒香選手の発言から考える〜

最近、横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智選手が、野球界の現状の問題点や未来に向けての提言を連続で行っています。

その中で私が注目したのは、小、中学生のスポーツ指導者向け研修会で発したとされる以下のような発言でした。

「多くの指導者は自分が経験したことばかりを言っていると思う。頭の中がアップデートされていない。時代は明らかに違う。常にアップデートしていかないと、子どもたちの将来は守れない。」

(2019年1月20日18時28分配信 日刊スポーツ電子版より抜粋)

一昔前の野球少年であれば必ず言われていた、

「(打つ時は)ボールは上からたたけ」「(捕る時は)ボールは正面で取れ」などは、

今やプロ野球界で活躍する選手にとっては常識ではなくなっているそうです。

にもかかわらず、自分が経験したことだけをベースに指導、そして押し付ける指導者が多く、そしてそれが今や小中学生にとって、不必要な負荷をかけすぎて成長を阻害していることを危惧したからこそ、筒香選手は声を上げたに違いありません。

ビジネスの世界でも同じようなことは起きています。

マネジャー層を見ると、自身のプレイヤーの頃の成功体験や、自分が上司から受けた指導体験をもとにするだけの部下マネジメントでは、なかなかうまくいかないと感じておられる方や、壁にぶつかっておられる方が非常に多いと感じます。

ここで、少し考えてみていただきたいことがあります。

それは、部下世代(若手)が直面しているビジネス環境、そしてもともと彼・彼女らの育った環境についてです。

実は、現在のマネジャー世代のそれと大きく異なる(全く逆)のです。

ビジネス環境の例
育った環境の例(学校、家庭など)
部下世代(若手)
◆正解が少なく、前例が通用しない。
◆変化が激しく先が読みにくい
→突発的な変動(Volatility)が多く、不確実(Uncertainty)で、複雑(Complexity)かつ曖昧(Ambiguity)なVUCAの時代
◆我慢・無理を求められない
◆失敗経験が多くない
◆親や先生などの大人から厳しく叱られることが少ない
◆テレビゲームなどいろいろな前提が用意されている

このような環境で育った部下世代に対して、自分たちが受けたマネジメントと同じ方法で対処しようという考え方に、そもそも無理がありそうな気がしませんか?

少し乱暴な物言いになりますが、「今の部下の世代(若手)は自分たちとは違う出自の人間なのだ」と「ダイバーシティ」の一種として考え、対応の仕方を丁寧に考える姿勢を持つことが大切なのではないかと思います。

このことは、冒頭の筒香選手の言う「常にアップデート」することに他なりません。

ここで、一点だけ、見落としてはいけない大切なポイントがあります。

若手の社員なら、上司や先輩がいろいろと声をかけてくれたり、丁寧に指導してくれるかもしれません。

しかし、マネジャーには誰も何も言ってくれなくなる傾向があります。

つまり、マネジャーは「アップデートされにくい環境にいる」ということなのです。

一般社員である部下に対しては、自組織の運営、人事に関することなど、話せないことも増えます。

また、マネジャーに遠慮して本音を語らない部下も出てきます。

一方で、上司である部長クラスは管轄範囲が広く、個々のマネジャーの仕事ぶりまで把握できないようなケースも出てきます。

マネジャーたるもの、自分のことは自分で考えて当然という空気も流れることもあり、一般社員の時のような具体的なフィードバックを受けることは滅多にありません。

「マネジャーは孤独である」といわれます。

そして、その孤独にどう打ち克ち(または楽しみ)、前向きに進めばよいのでしょうか。

その一つとしてオススメできるのが「360度フィードバック」の活用です。

得点の高い・低いに一喜一憂するのではなく、

「自分が組織・メンバーに発しているメッセージがきちんと伝わっているか」

「自分の行動の何が認められていて、何がうまくいっていないか」

「自分が力を入れて取り組んだことが、メンバーにはどのように映っているのか」

「メンバーが困っていることは何か、メンバーが自分に期待していることは何か」

などをしっかりと読み取り、そして考えることで、アップデートの大きなヒントとなるのです。

「常にアップデートすること」はとても骨が折れることではありますが、自分を高め、何より組織の力を高めていくためにも、自分自身も頑張らないといけないなと改めて思いました。

ビジネス環境の例

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