◆組織の中からイノベーションを起こすために必要なこと

いま多くの企業では、イノベーションの創出や働き方改革など様々な変革が求められています。

しかし、実際には「新規事業が出てこない」「変わらなければいけないのに変われない」というような声が
聞こえてきます。

先日あるクライアント企業で管理職を対象(被観察者)にして360度フィードバックを実施し、その結果を役員会で報告しました。

対象者全員のデータを集計分析することによって、その組織全体の特徴(強みや課題)が見えてきました。

その企業では、イノベーション創出の源泉ともいえる【創造性】という行動が多くの管理職にとって
発揮できていない状況であり、組織全体の課題として捉えられました。

※【創造性】既存のやり方にとらわれない創造的なアイデアや企画を打ち出している

この結果を受けてクライアントの経営陣からは「うちは新しいことへの取り組みが不得手だから・・」「イノベーションを起こせる会社に変わらなければ・・」といった声が聞かれました。

では、いったいどうすればよいのでしょうか?

そこで360度フィードバックのデータ分析をさらに進めて、対象者に対する周囲からの意見が書かれたフリーコメントに着目してみました。

すると、【創造性】が高い方複数名のフリーコメントを見ていると、高い人の多くに共通して書かれている「ある行動特徴」が見えてきたのです。

それは、「部下が気軽に発言できる雰囲気をつくり、多くのアイデアや意見を引き出している」というマネジメント行動でした。

逆に、【創造性】の低い方のフリーコメントには上記のような行動特徴は見られなかったのです。

これらのことから、創造的なアイデアを打ち出している人は、同時に部下からも多くのアイデアを引き出しているということが推測されます。

おそらく上司は部下のちょっとした思いつきや考えをしっかりと受け止めて、それを活かしながら創造的なアイデアを打ち出していると考えられます。

ここで大事なことは、部下が発言しやすい雰囲気をどのようにつくるかということです。

さらに、【創造性】を発揮するには他にどのような行動が必要なのか、そのヒントを得るために【創造性】を発揮している人複数名に協力してもらい、個別にインタビューすることになりました。

インタビューでは『普段どんなことを意識しているのか』『どんな工夫をしているのか』など【創造性】を高めるための行動のヒントをたくさん聞くことができました。

たとえば、【創造性】を発揮している人たちに 多く見られたこと で「メモをとる」という習慣がありました。

見たこと、聞いたこと、打ち合せや会議など情報が入ってくる全ての場面でメモをとっているのです。

インタビューにご協力いただいたある課長さんは「独自のメモ術」を持っていて、実際にそのメモ帳まで見せてもらいました。

そのメモ帳には、「→(関連性)」「◎△(重要度)」「vs(対立概念)」などの記号と合わせてたくさんのイラストや図も書き込まれており、そのメモを見ながら「独自に考えられたメモ術」をお話いただきました。

このような工夫をして記録メモを取っていれば、次にそのメモを生かして新しいアイデアを練ることが容易になるそうです。

その会社において、【創造性】を生み出す一つの行動として挙げられるのは、アイデアを考えたり思考を深めたりするきっかけをつくるために「メモをとる」ということです。

このようなちょっとした工夫が【創造性】を高めていると考えられます 。

そしてクライアント企業においては、次回の360度フィードバックに向けて、今回のインタビューで得られた「創造性を高めるポイント」を設問項目に盛り込むことになりました。

さらに、360度フィードバックはその設問を回答させることで回答者(全社員)に向けて『創造性を高めるためには、これらの行動が大事だよ』という会社からのメッセージが伝わります。

このように360度フィードバックはその使い方を工夫することによって、組織の課題を発見し、組織強化につなげていくことができるのです。

経済の成熟化や人口の減少にともない、日本の企業が国内で売上を伸ばすための手段としてイノベーションはますます重要になっています。

「新規事業が出てこない」と危機感を持たれている企業は、「360度フィードバック」を上手く活用し、管理職や組織の創造性を高めてイノベーションにつなげることを考えてみてはいかがでしょうか?  

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