「リモートワークにおけるマネジメント」と360度フィードバック

新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言により、多くの企業がリモートワーク(在宅勤務、ローテーション勤務なども含む)の導入を余儀なくされています。そして、リモートワークは今後も継続し、(長い時間を経て)世の中に定着するといった考えも伝わってきます。そのようなこともあり、リモートでのマネジメントに注目が集まっています。

かく言う私も、以前在籍していたIT系企業でリモートでのマネジメントに直面し、「メンバーとのコミュニケーションはメールやチャットで出来るし、会議だってオンラインで開催できる。今までのマネジメント方法と何か変わるのだろうか?」といった漠然とした不安と、「今までとは違ったコミュニケーションを心掛けないといけないな」といった少しばかりの心構えを持つことしかできませんでした。

そこで、実際にリモートでのマネジメントを行っている友人、そしてネット上での意見を集めてみました。

・オンラインでもオフラインでもマネジメント上やることは基本的には同じ。

・但しオンラインでは細かな業務進捗の管理ができない。

・メンバーの動きを細かく把握することが難しいため、明確な目標設定が必要だ。

・コミュニケーションの取り方に工夫が必要だ。

・コミュニケーションの量が減るので、1on1などでのコミュニケーションの質を上げることが重要。

・オンライン上に雑談できる場を用意した方がいい。

・フリーライダーが出そう。

・業務効率が悪くなり、業績が落ちそう。

・今まで以上に管理したほうがいい。

・監視や管理をし過ぎてはいけない。

・自律を促すいいチャンスだ。

など、様々な考えや意見があふれていました。

「物理的な距離、心理的な距離が広がるので、従来のマネジメントやコミュニケーションでは通用しない部分が出てくる」ということです。

今後は、緊急事態宣言が解除されたこともあり、リモートワークとオフィスワークのメンバーが混在してくるでしょう。週に2〜3度顔を合わせるメンバーと週に1度ぐらいしか顔を合わせないメンバーが混在し、そのことで意図せずコミュニケーション格差が生じます。そしてそこから生じる意識の違いが更なる混乱を発生させてしまい、悪循環に陥ってしまう危険性もあるように感じられます。

今まではできていたことが意図せずできなくなり、知らず知らずのうちに組織内に問題が発生し、個々人のモチベーションの低下や組織の活力が失われる。そんな状況に陥ってしまうケースも少なくないでしょう。

このように、リモートではいろいろな場面で今までのように目が行き届かなくなり、業務進捗やメンバーの心理状態をつかみにくくなります。

そのため、メンバー一人ひとりに心を配り、業務進捗や心理状態を丁寧に確認するといった従来のマネジメントやコミュニケーションの原理原則は変わらないものの、”リモートならでは”のマネジメントやコミュニケーションを取り入れる必要があると感じています。

では、どのように考えていくべきでしょうか?

この状況の中で360度フィードバック(360度評価)はどのように活用できるのでしょうか。

360度フィードバックの本質的な機能は、「関係性の現状把握」「フィードバックによる育成支援」「人事評価の参考情報」といった3つの要素から構成されるとも言えます。

「関係性の現状把握」とは、「対象者(管理職)と回答者(主に部下)との関係性の現状」を把握する機能です。

「フィードバックによる育成支援」とは、職場での行動が周囲にどのように伝わっているのかを気づかせ、このことで管理職のマネジメントレベルの向上(育成)を支援する機能です。

「人事評価の参考情報」とは、360度フィードバックをダイレクトに月例給与に反映する人事評価というよりも、昇進昇格の参考資料や、適切な異動配置の参考にする機能です。

リモート環境下においては、前述した本質的な機能の中でも特に「関係性の現状把握」の重要性がより一層高まると考えています。

「戸惑いながら意識して変えてみた行動が部下にどのように見えているのか。部下にどのように伝わっているのか」といった管理職の不安。「ほったらかしにされている。もっと声をかけてほしい」といった部下の不安。リモートによってマネジメントやコミュニケーションの変化が求められる中、変えようとしている行動が、部下にどのような影響を与えているのかを知ることが重要になることは間違いありません。

360度フィードバックにより管理職と部下の「関係性の現状把握」ができると、行うべきことが見えてきます。

例えば「毎朝、調子を聞いてみよう」「業務進捗を一緒に行い、うまくいっているところを褒めてみよう」「オンラインでも1on1を設定して、声のコミュニケーションを意図的に増やしてみよう」といったように、リモートに対応したマネジメントやコミュニケーションの”引き出し”を増やすこともできるでしょう。

このような取り組みを通して、リモート環境下におけるマネジメントやコミュニケーションについての気づきや、あるべき姿・ありたい姿とのギャップを埋めるなど、人事部が提供するソリューションのひとつとして、360度フィードバックを有効活用して頂ければと思います。

本コラムでは、360度フィードバックを活用してリモートでのマネジメントを向上させるポイントを簡単に紹介させていただきました。

ご興味がございましたらお問い合わせください。詳細についてご説明いたします。

お問合せ・ご相談

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
03-5315-4477

受付時間:9:00〜18:00
定休日:土日祝