高い顧客満足の実現を考える上で、忘れてはならない幾つかの大事なキーワードがあります。
その中でも最も重要な1つである『真実の瞬間』。
皆さん、このキーワードを聞かれたことがありますか?
1980年代にスカンジナビア航空が経営再建に取り組んだ際のサービスマネジメントの考え方であり、同社を復活に導いた要因のひとつであると言えるものです。
これはリチャード・ノーマンという経営コンサルタントが唱えた考え方ですが、当時の社長兼CEOだったヤン・カールソンが出版した、「真実の瞬間(邦題)」という書籍の中で紹介され、注目が集まりました。
簡単に言えば、
「お客様は、その企業に接する瞬間(ほんの短い時間)で、その企業のサービス全体に対する良し悪しを評価してしまう」
そんな考え方です。
例えば、いくら立派なレストランで美味しい食事が出てきても、ウエイターのちょっとした嫌な対応が、そのレストランの最終満足度を決定してしまうということなのです。
「嫌な対応」とは、ちょっとしたことです。
“無愛想で偉そうな言い方をされた”、とか“ムッとした表情をされた”とか、ほんの一瞬の出来事です。
皆さんも、レストランに行った際に、ウエイターから“カチン”とくるような不愉快な対応をされたら、いくら料理が美味しくても、お店のインテリアが素敵だったとしても、そのレストランにはもう行きたくないと思ったという経験があるのではないでしょうか?
『真実の瞬間』は、日常生活で受けるサービスにおいて、数多く存在しています。
そして、がっかりさせられることが多いのも事実です。
上記のとおり、店員の笑顔なき無機質な表情、ぶっきらぼうな言葉使いなどは、その最たるものです。
お客様は、些細なことであっても、サービス提供者が思っている以上に敏感に感じてしまうものなのです。
この一瞬、一瞬の出来事が、大事なお客様を逃がしてしまっています。
そして、業績を低下させているのです。
自社における真実の瞬間は、どんな場面で生じているのか?
それをしっかりと見極めて適切なマネジメントを行うことで、CSそして業績は確実に高まっていくでしょう。
ちなみに、この『真実の瞬間』。
これは、お客様へのサービス提供といった場面以外にも適用できる大事な考え方です。
これについては、また別の機会でコメントしたいと思います。