企業で人事企画を担当される方であればご存知であろう人事専門誌「労政時報」。
その2010年6月25日発行の3776号に「管理職育成」をテーマにした360度フィードバック(360度評価)に関する特集が組まれています。
私も何年か前に、360度評価の特集記事を執筆させていただきましたが、今回のテーマは、「結果の活用」。
やはり、このテーマについては、既に導入されていらっしゃる企業含めて、注目されるテーマになってるのだな…と思いつつ、興味深く拝読しました。
「考え方」や「手法」は、弊社のものとは若干異なる部分もありましたが、共感する内容がほとんどでした。
特に、「実施結果データの活用が十分でない」といった意見には激しく同感しました。
360度評価の結果は、組織強化、人材マネジメントのための【情報の宝庫】です。
十分に活用されていないのはもったいないです。
「結果データの活用」には、以下の2つのことが考えられるでしょう。
- 個人結果をどう読み取り、個人としてどう活用するのか?
- 全体結果をどう分析し、人事部としてどう活用するのか?
今回のコラムでお伝えするのは、前者の「個人結果の読み取り&個人活用」です。
※後者についても、全社的な観点から感動するような情報を得ることができます。
その実践的なノウハウは、別の機会に紹介させていただきます。
先日、複数の大手企業の人事部の方から「現在導入されている360度評価の活用方法」についてお話をいただく機会がありました。
そこで感じた、「え〜っ!」という内容を、少しだけ紹介したいと思います。
残念ながら、予想通り多かった活用方法は、「実施結果を社内便で本人に送付しているだけ」です。
悲しい…、あまりに悲し過ぎます…。
これだと、360度評価の効力の半分も発揮されないでしょう。
こんな内容もありました。
「個々人の結果報告書に自動的にコメントが表示されるのですよ。対象者はそれを読むことで自己理解を効率的に行えるから便利ですよね。」
「え〜っ!」と思い、私は質問しました。
「置かれている状況が違うのに、一律のルールでのコメント表示は危険ですよ。誤った解釈につながることもありますし、大丈夫ですか?一度検証されてみては?」
「確かに、表示されたコメントに違和感を感じるといった声も結構出ているようです…。」
また、こんな内容もありました。
「他者結果を高い点数順に並べています。『強み』が確認できるからいいですね。」
「もしや…」と思い、私は質問しました。
「本人評価と他者評価のギャップにも着目させていらっしゃいますよね?」
「させていないです。自分で気になる人は見ているかもしれませんが…」
「え〜っ!」…(私の苦悩)。
既に360度評価を導入されている会社であっても、「大丈夫かな?」と感じる運用をされていらっしゃる企業もまだまだありそうです。
せっかくの予算と手間を掛けて実施したのに…。
「あまりにもったいない!何でなんだ〜っ…!」と、心の中で叫ぶ私なのでした。