突然ですが、「ダイエット」という取り組み。

“目指す状態に対して日々努力して自分を磨き、自分の状態を向上させる”という意味では、「人材育成」に共通する部分も多いのではないかと思います。

それだけに、両者の取り組みを比較すると、お互いにとってヒントになることも見えてきます。

さて、「ダイエット」を成功させるためにはさまざまな方法がありますが、誰であろうと必ず行うことがあります。

それは、「体重計に乗る(体重測定)」ということです。

体重測定を全く行わないダイエットなど、有り得ないでしょう。

自分の体重を知ることで、理想(目標)体重とのギャップを認識し、「ここままではヤバイ…」とか「よ〜し、頑張ったぞ!」といった感情を芽生えさせ、更なるダイエットに取り組めるのではないでしょうか?

一方で「人材育成」について考えてみましょう。

多くの企業では、理想の状態(目標とする人物像など)を設定されています。

例えば、「管理職にとって求められる人材像」とか「リーダーにとって必要な要件」といったことの設定です。

ダイエットで言えば、「目標体重を決める」ということでしょう。

しかし、ダイエットにおいて間違いなく行われているにも関わらず、人材育成ではなおざりにされていることがあります。

それは、「体重測定」に相当することです。

つまり、「人材育成において、現在の状況を正確に把握する」ということです。

この部分は、結構曖昧になっているのではないでしょうか?

自社人材の強みや課題は大体わかっているよ…と思われている人事部門の方も多いかもしれません。

しかしながらここで大きな問題であることは、現場で働く個々人が「自分自身の現状」を正確に理解できてないのではないかということです。

特に管理職になると、他者から自分の言動に対する意見やアドバイスを受ける機会が少なくなります。

自分では問題だと感じていないことでも、周囲にとっては問題行動となっていることも多くあります。

例えば、よかれと思って熱血指導しているつもりが、部下からはパワハラだと感じられているといった悩みが、多くの企業の現場から聞かれているのではないでしょうか?

管理職は会社や組織にとって大きな影響を及ぼしていることに間違いありません。

それがゆえに、管理職の部下マネジメントの強化は、企業において急務のこととなっています。

なお、現状把握が曖昧であるということは、理想状態とのギャップも曖昧となり、取り組むべき施策も曖昧になってしまい、好ましくない状態が放置されてしまうことになります。

それに加えて残念なのは、「向上に向けた意識が高まらない」ということです。

「このままではマズイ…」といったような危機感、「私は頑張った甲斐があったな・・・」といった喜びなどの感情が生まれないと、自ら本気で取り組むモードにはなりにくいと言えるでしょう。

人材育成もダイエットも、成功させるための秘訣は、「本人がその気になる」ことです。

そのためにも、感情を芽生えさせるための仕掛けは、とても重要なことと言えます。

360度フィードバック(360度評価)は、自分の状態に気づかせる人材育成の手法です。

アンケートを通じて収集した周囲からの声を整理して伝えることで、「自分では良かれと思って行っていた行動が周囲に意図したとおりに伝わっているのか?」「周囲にどのような影響を与えているのか?」を自己認識させることができます。

そのことは、行動変容につながっていきます。

そして同時に、感情を揺り動かすことができる仕掛けでもあることは、言うまでもありません。

「日本の人事部」が主催するHRカンファレンスで、2014年秋の弊社の講演において、弊社のお客様であるJT様(R&D部門執行役員)の方とソフトバンク様(人事企画部長)の方にご登壇いただきました。

そのパネルディスカッションにおいて、実際に360度フィードバックを活用されているお二人に、360度フィードバックは、他の人材育成手法と何が違うのか?一番の魅力であると感じているのは何でしょうか?と質問しました。

なんと偶然にも、お二人とも同様のご回答でした。

「見える」ということ。周囲の思いが数値になって表れる。

見えることで、納得せざるを得ない。

また、定性的な自由記述回答も、本人にとっての納得感が高い。

人は自分の行動を客観的に見ることができない。

現状を変えるためには、客観的に自分の行動を見る(理解する)ことが大事だと考える。

360度フィードバックは、それをわからせてくれる「唯一の」手法である。

うまく導入されている企業の方のコメントには、リアリティがあり、説得力があります。

その一方で、360度フィードバックの独特の魅力は、実際に活用されてみないとなかなか伝わりにくいものであることを感じました。

多くの企業の方に、まずは試していただき、効果を実感いただきたい手法です。

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