私が「360度評価」の素晴らしさに目覚めたきっかけは、企業情報>SDICの想い書かせていただいたとおり、自分自身の痛切なる体験でした。

しかしそのこと以外にも、360度評価に関して、私の心を震わせた出来事がありました。

今回のコラムは、そのことを綴ってみたいと思います。

1990年代になって、日本企業でも「リストラ(人員削減策)」なるものが行われ始めました。

それまでは、「リストラ」なんて、アメリカ企業では当たり前であっても、日本企業で行われることなんて考えられなかっただけに、インパクトがある出来事であったように覚えています。

日本経済新聞に、「リストラされた社員の談話に基づいたコラム記事」を偶然見つけたのは、そんな頃でした。

今から15年近く前のことだったと記憶しています。

その社員が属していた会社は「リストラ対象者の選定⇒キャリア研修受講⇒早期退職に関する面談」といった手順でリストラを行っていたようでした。

そして、そのプロセスの中で、360度評価が登場していたのです。

360度評価は、「自分のキャリアを見つめなおす…」それを支援するツールとして活用されていました。

キャリア研修の中で本人にフィードバックされ、自分の過去、現在、未来を考えさせる。

360度評価は、リストラの理由づけのために活用されるのではなく、今後のキャリアを考えるために活用されていたようです。

前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。

リストラ対象となって面談を受けた方(50代後半?)のコメントが、その新聞記事に掲載されていたのですが、その内容は当時の私(30代前半)にとって非常にインパクトあるものでした。

彼は、以下の様にコメントしていました。

リストラ対象となったことは、正直ショックだ。

しかし、そのことは悔しいながらも仕方ないと受け止めるとして、今、一番頭の中に強く感じていることは、この360度評価をもっと若い頃にやって欲しかったということである。

若かった頃に、自分の強み・弱みに気がついていれば、現在置かれている「このような事態」にはならなかったはずである。

このことが一番悔やまれる…。

ただ、これからの新しいキャリアを考えていく上で、このデータは参考にはなるであろう…。

正確な表現は覚えていませんが、このような内容の記事であったように記憶しています。

上記でリストラ対象となってしまわれた方は、能力的に何らかの問題を抱えており、成果もうまく出せなかったのでしょう。

しかし、リストラ対象になった彼がコメントしていたように、年を重ねてからではなく、その時点(もっと早い段階)で、「自分の仕事面・人間関係面での実際の状態」に気づかせてあげていれば、彼の人生は、明るいものになっていたのだと思います。

「自分自身の状態に気づくこと」

その大事さを実感できず、そのまま放置している人も少なくないでしょう。

また、その大事さが実感できていたとしても、自分のことを正しく理解できている人は、必ずしも多くないと思います。

多くの方々は、「自分自身で思っている自分」と「周囲に伝わっている自分」との間に、相当のギャップを持っているのが現実です。

本人にきちんと「現在の自分の状態」を気づかせてあげることは、その人の人生を良い方向へ変えてあげることにつながっていくのだな…。

上記のリストラ記事によって、360度評価の意義について深く考え、そして目覚めた私なのでした。

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