ここ数年、人事部の方々にとって関心の高い研修テーマの1つに、「評価者研修」があります。

そんなこともあってか、弊社にも多くの相談が寄せられています。

※企業の評価制度には、主に「目標管理(MBO)」と「行動評価」がありますが、弊社は、後者の「行動評価」についての評価者研修に大きな特徴があります。

多い時は、1ヶ月の中で、複数の会社において、合計約200名以上の管理職の方々に対して、評価者研修を行いました。

また、ある会社では、評価者研修」というものも実施しました。

研修の設計・実施において、私は、“あること”を非常に重要視します。

それは、「感じること(感じさせること)」です。

もう少し説明するならば、「人間は、そのことが自分にとってどれだけ大事なのかを心で感じないと、現場で本気で動かない」です。

ストレートに言えば、子供の教育と同じです。

本気でやる気を感じていない対象者に対して、いくら知識やスキルを与えても身につかないということです。

それが故、「感じること(感じさせること)」には、徹底的にこだわります。

研修の中で、いかに受講者を「感じさせる」ことができるのか…。

「感じさせる」ための仕掛けを、どの様にして研修に組み込むのか…。

しかし、あまり複雑なプログラムを実施すると、「感じる」前に「考えて」しまうので、注意が必要です(苦笑)。

そのため、研修時間は最短で3時間。長くても1日としています。

知識を提供するセッションも行いますが、そこはポイントを絞って出来るだけコンパクトに、短くしています。

感じさせ”、“気づかせる”ことによって「評価者の違いによるブレの軽減」そして「評価を通じた部下育成」を、現場で具体的な行動として実践させることを目的に置いています。

多分、一般的な研修会社の評価者研修とは、かなり異なったものでしょう。

ありそうでなかった、感情と理論を両立させた絶妙な評価者研修」と言われたこともあります(笑)

  • 評価者として、育成者として、“大事な何か”を感じさせる
  • 各企業の評価制度内容を反映し、実際の現場で実践しやすい
  • 本当に大事なことに絞るため、半日から1日程度の所要時間(管理職の方々を長時間にわたって拘束することは避けたいです)
  • 大手研修会社と比べて、柔軟的な運用と予算にやさしい料金設定

この研修、結構インパクトあるのです。

自ら研修講師をしていて、私自身も本当に熱くなってきます。

受講者が眠たくならない…っていうことも、ウリかもしれません(笑)

また別の機会で、詳しく説明していく予定です。

経営トップや人事部長からのご要望によって、「管理職の意識改革に関する相談」を受けることがあります。

“管理職の意識改革”結構ありがちですが、深いテーマです。

これを実現させるためには、様々な方法があります。

教育(ワークショップ型研修、アクションラーニングなど)や人事制度などの仕組みの改訂、組織体制の変更、コミュニケーション施策などなど。

もちろん、経営トップの関与も重要となってくることは言うまでもありません。

上記の方法と組み合わせて「360度サーベイ」を活用すると効果的です。

しかしながら、360度サーベイの話が出ると、それを提供する会社としては、ついつい以下のように反応してしまいがちです。

「360度サーベイの結果を本人にフィードバックして意識改革させましょう!」

王道とも言える、スタンダードな回答なのかもしれません(苦笑)。

確かに、360度サーベイの結果をフィードバックすることで、周囲の評価と本人評価とのギャップを明らかにし、本人に刺激を与えることはできます。

しかし、本当にそれだけでいいのでしょうか…?

ここで立ち止まって考えてみたいと思います。

この問いかけには、しっかりと考えるべき幾つかのポイントがあります。

「サーベイ結果をフィードバックするだけで、本当に意識改革できるのか?」といったこともその1つでしょう。

しかし、先立って考えるべきことがあります。

「そもそも、意識改革ってどういうことなのか?」

「現在はどんな意識状態であり、それをどんな意識状態に変えたいの?」

「どうなれば意識が改革したことになるの?」

そして、何よりも一番大事なことは、

「何のために意識改革をしたいの?」

「管理職を意識改革することで、何を実現したいの?」

ということです。

とても大事なことなのですが、これをどこかに置き忘れたまま進めていらっしゃるケースも多く見られます。

これを明確にしておかないと、360度サーベイを実施したけど、良かったのかどうなのか、よくわからない…」なんてことになってしまいます。

上記のことを明らかにすると、施すべき工夫も明らかになってきます。

  • どんな内容、表現のサーベイ項目を設定するのか?
  • 回答者をどの様に選定し、どの様に回答依頼するのか?
  • 実施に向けて、どの様な準備(広報など)を行うべきなのか
  • サーベイ結果をどの様な方法で本人にフィードバックすれば良いのか?
  • 効果を高めるために、その他にどんな工夫をすれば良いのか?
  • 逆に、失敗しないようにするためには、どんな工夫

などなど

これらの工夫が上手く働けば、かなり高い可能性で“意識改革”につなげることができるでしょう。

この時、360度サーベイは、「単なるツール」から、「意識改革の有効手法」に生まれ変わります。

是非、上手く使いこなして、意識改革を実現して欲しいと願うばかりです。

「360度フィードバック(360度評価)の実施の成功・失敗を決めるのは、何ですか?」

このような質問をされたら、間違いなく次のように答えるでしょう。

「フィードバックがキーとなります。」

フィードバックの仕方によって、360度評価の実施効果は格段に変わります。

正しいフィードバックを行えば、9割以上の方は、その結果を前向きに受け止め、行動改善しようと考えてくれるはずです。

世の中で、360度評価に対して後ろ向きな批判をされる方がいらっしゃいますが、多分、良いフィードバックを受けたことが無いのだと思います。

ところで、結果のフィードバックには幾つかのパターンがあります。

詳しくは、『無料ガイドブック(上巻)』にて解説

人事部が結果を本人に直送するパターン上司が面談などでフィードバックするパターン説明会や研修でフィードバックするパターン

1は、正直、効果は少ないです。

2は、理想的なフィードバックなのですが、上司が一定のフィードバックスキルを持っていないと十分な効果は得られません。

初めて導入される場合にお勧めなのは、3(説明会や研修を通じて)と言えます。

実際、私も、フィードバック研修の講師を時々行っています。

各企業様のご都合やご要望に合わせて、最短2時間〜最長1日。

講師を行っていると、受講者の受け止め方をリアルに感じることができ、360度評価の素晴らしさを再認識できます。

この研修には、普通の研修(例えば管理職研修)とは一味違う大きな特徴があります。

それは、「受講者個々人の360度評価の結果が事前に手元にあること」つまり、「研修が始まる前に、各々の受講者の実際の職場における仕事ぶりや周囲との関わり状態をリアルに把握することができる」ということです。

この様な受講者の情報がわかっているのであれば、それに基づいて、受講者にとって効果的なアプローチを行うことができるのです。

例えば、360度評価の結果をフィードバックしたら、大きなショックを受けてしまうと思われる受講者も、概ね、事前に特定できます。

「自分は出来ると思っているが、周囲からは出来ていないと思われている人で、特にそのギャップが大きな人」などです。

その様な状態を放っておくと(本人任せの解釈にしておくと)、その大きなショックのために後ろ向きに考え、自信をなくしてしまうことも考えられます。

これは、360度評価を実施において、とても不本意なことです。

360度評価は、本人を前向きな気持ちにさせ、良い方向に行動改善を促すためのものです。

そんな時、私は、独特の行動を取ることが多いです。

フィードバックされた報告書をじっと見て、ショックを受けているであろう本人のところに行って、ある「魔法の言葉」を掛けるのです。

その一言で、随分と受け止め方が変ってきます。

実際に、多くの人が、その一言で、“ホッ”と安心し、そして前向きにその結果を分析してくれるようになっています。

受講者が、「360度評価を受けて良かった!」と前向きに感じてくれるような効果的なフィードバック。

360度評価の一番大事な部分です。

ますますこの部分のノウハウを蓄積し、被評価者本人が前向きに行動できるような支援をし続けていくことを使命に進んでいきたいと思う日々なのでした。


今年(2010年)、360度評価は、多くの正統派メディアに取り上げられました。
「正統派」と書いたのは、今か15年位前にもメディアに盛んに取り上げられたことがあったのですが、その多くがスポーツ系の夕刊でした(苦笑)。

「部下から上司の逆査定!」といった見出しで、本質面ではなくマスコミ的に面白おかしく取り上げられていた状況に

とても悲しい気持ちになったことを今でもはっきりと覚えています。

それはさておき、私が知っているだけでも、夏以降に取り上げられた主なメディアを紹介しますと、

①「AERA アエラ (2010.8.23号)」

巻頭特集記事「育てる上司が会社を救う」の中で取り上げられていました。

不況下の管理職に求められる能力としてクローズアップされている「育てる力」。

“育てる力をどう身につければいいのか。

多くの企業が採用し始めているのが、上司や部下による「360度評価」だ。”

そんな解説と共に、損保ジャパンさん、全日本空輸さん、コーセーさん、

アサヒビールさんといった企業が紹介されていました。

②「PRESIDENT プレジデント (2010.9.13号)」

特集記事「私がやる気満々になった!上司の声かけ」の中で、富士フィルムさんの事例と共に取り上げられました。

本文のタイトルは、「部下を変える前に自分を変えよ!」です。

マネージャーの意識改革を目的に、全課長級社員に対して行われた「チェンジマネジメントプログラム」。

その中で、自分のマネジメントスタイルの現状と、それに対する部下からの要望・期待に気づくことで、マネージャーとしての自分に求められている役割を再認識し、やる気と能力の向上につなげる…。

そんな取り組みが掲載されていました。

そして最近では、遂に大御所級のメジャーなメディアに次々と取り上げられています。

例えば、天下の「NHK」さん。

11月22日に放映された「クローズアップ現代」で取り上げられました!

ここでは、損保ジャパンさんの事例が紹介されました。

登場された管理職の方は、360度評価の結果をフィードバックされ、自己評価と他者評価の乖離に気づいてショックを受けます。

しかしながら、その後、結果共有の職場ミーティングを通じてマネジメント改善に取り組まれます。

そして部下からの優しいコメントに嬉しくて思わず涙ぐむ…。

360度評価の結果をフィードバックされると、多くの人は何らかのショックを受けるでしょうが、実施および活用の仕方を工夫することで、そのショックをしごとのやりがいへと転換でき、能力のみならずモチベーションも高めることもできます。

そして何と言っても、ビジネス誌の重鎮である「日経ビジネス」さん。

11月22日号において『実践の奥義』という特集コーナーに取り上げられています。

何と4ページも!

そのタイトルは、「管理職の360度評価 弱みを公開して強くなる」

コーセーさんの360度評価を活用した管理職強化の事例が取り上げられています。

「組織の要は管理職」という社長の強い問題意識から、業績向上、組織変革に向けたマネジメント強化を実施され、その核として360度評価を導入されています。

コーセーさんの素晴らしいところは、単に実施して結果を本人にフィードバックするだけでなく、その結果を研修の中でしっかりと議論されています。

更に、研修後に自分の部署のメンバーと話し合いを行うことまでを仕組みとされている点は、さすがだと感じます。

そして何よりも特記すべきは、実施後の反応です。

対象となった管理職への無記名アンケートを実施された結果、「いい機会を与えてくれてありがとう」といった前向きな意見が圧倒的に多かったようです。

無記名アンケートであるにも関わらず、感謝の気持ちを回答されている。

これはしっかりと実施された企業における大きな特徴でもあります。

実施・活用の仕方さえ間違えなければ、360度評価は、対象となる本人、そして組織に大きな良い効果をもたらします。

しかしながら、これが出来ていない企業が多い実情に対してとても残念に思います。

上手く活用されないまま、更には上手い活用をご存知ないままで、「360度評価なんてイマイチだ!」などと発言されている方を見ると、悲しくもなります。

約15年前とはメディアのトーンが明らかに変わってきています。

360度評価を数多く提供している幾つかの会社からは、共通して、「2010年に入ってから、360度評価の導入に関する問合せが増えてきている…」といった声が聞かれています。

360度評価の本質的な良さは、まだまだ十分に伝わっているとは言えませんが、嬉しい出来事、活用事例が増えている良い兆しを感じます。

2010年ももうすぐ終わります。

2011年も、「360度評価を愛する第一人者」として人材育成、組織活性につながる360度評価を提供していけるよう取り組んでいきます。

いろんな会社で「人」に関する仕組み、例えば人事制度や教育制度の見直し・改善の話が出ています。

それに伴って、現状の課題を発見するために、「人事制度に関する満足度調査」を実施される企業も多いようです。そこで必ず出てくるのが、評価に対する不満です。

「評価の基準が評価者によって違っており不公平だ!」といった曖昧な評価基準についての不満が、どこの会社でも必ず出ています。

そして、同様によく登場するのが、フィードバックについての不満です。

「評価結果をフィードバックしてもらえない…」

しかし、ここで“不思議な現象”が多くの会社で起きています。

評価者(上司)が、「フィードバックしている」と回答した数と被評価者(部下)が、「フィードバックしてもらっていない」という回答した数に大きなズレが生じているのです。

もちろん、上司の数と部下の絶対数は異なるのですが、その数を考慮したとしても、明らかに大きなギャップが発生しているのです。

このことはアンケート調査だけではありません。

上司とその上司が直接マネジメントしているその部下数名にインタビューした時のことです。

上司は「私はフィードバックしている」と回答し、その部下は「私はフィードバックされていない」と回答したのです。

同様のことを幾つかの会社で経験しました。

何だかおかしいですよね…。

『人事の7つの不思議』のひとつだと言えます(苦笑)。

なぜ、こんなことが起きるのでしょうか?

いろいろなことが考えられますが、一番の原因は「フィードバック」についての解釈(定義)の違いにあるようです。

上記の場合、「フィードバックすること」を、上司は「人事評価の最終結果を部下に伝えること」、部下は「人事評価の結果のみならず、評価の理由など様々な情報も教えてもらうこと」と解釈しているのです。

ここで考えてみましょう。

そもそも「フィードバック」って何でしょうか?

「フィードバック」の「フィード」とは「feed」であり、これは“food”を語源とする“食べ物”、“栄養”を意味するそうです。

「フィードバック」とは、本来、部下にとって成長のこやし(栄養)になるものを与えることなのです。

そう考えると、評価の最終結果だけを伝えることは、フィードバックとは言えないということです。

それはフィードバックではなく、単なる「通知」でしかありません。

最終結果を伝えるだけなら、人事部がメールなどで事務的に通知すれば十分事足りると思うのです。

別に上司がわざわざ行う必要はありません。


大事なことは、

「何故、上司にフィードバックさせているのか?」

「上司にしか出来ないフィードバックがあるのでは?」

ということなのです。

上司は、日常活動の中で、部下の仕事ぶりをよく観察しているはず(べき)です。

そして部下の特徴(強み、弱み、モチベーションリソースなど)も理解しています。

ですので、評価結果を伝えるだけでなく、業務上の課題について改めてじっくりと話し合ったり、動機づけたりしながら、今後の成長につながるアドバイスを与えることができるのです。

改めて考えると当たり前のことなのですが、これが本当のフィードバック(成長のための栄養を与える)ということなのです。

このことを「360度フィードバック(360度評価)」の話に展開してみます。

「360度評価」は、「360度フィードバック」と呼ばれることも多いです。

この呼び方は、個人的に大好きです。

ここで、この「360度フィードバック」というネーミングを考えてみましょう。

上記したことを踏まえると、「360度フィードバック」は、「360度の方向から、本人にとって成長の栄養となる情報を与えることができる仕組み」と定義することができます。

そう考えると、刺激があって有益に感じる人材開発手法って思いませんか?「360度フィードバック」って。

「フィードバック」をうまく機能させれば、組織の活性化、実践的な人材育成が図れます。

“日常的にフィードバックが行われている組織は強い”という実例も多く存在しています。

改めて、フィードバックの大事な意味について考えていただきたいのです。

「フィードバック」をうまく活かせていないなんて、もったいない企業が多いな…そう感じる私なのでした。

毎年、8〜9月頃に日経新聞社から発表される「働きやすい会社」ランキング。

2010年の調査結果が9月21日の日経産業新聞などに掲載されました。

この調査は、「企業の自己申告回答」と「ビジネスパーソンの回答」といった2つの側面からの回答を集計するものです。

今回、最終的に回答した企業は478社、ビジネスパーソンは2343人。

対象となっている企業は、上場かつ連結従業員2000名以上、日経株価指数300銘柄300社とそれらに準じる有力企業1568社だそうです。

顔ぶれを見ると、ほとんどが大企業といった感じですね。

で、今年の1位は、ソニーでした。

この結果には賛否両論ありそうですが、研修制度の拡充など人材育成を強化している点が評価され、昨年13位から躍進されています。

ちなみに、評価は以下の4点によって行われています。

社員の意欲を向上させる制度人材の採用・育成と評価働く側に配慮した職場づくり子育てに配慮した職場づくり

このランキングは、調査内容、調査結果ともに示唆に富んでおり、中身をじっくり拝見していると、「働きやすい会社って何だろう?」ということをより深く考えさせられます。

個人的に注目していることは、「2.人材の採用・育成と評価」です。

その内訳の質問項目は、

  • 「360度評価の有無」
  • 「人事考課の評価基準の公開」
  • 「人事考課の本人への伝達」
  • 「人事考課の結果に対する不満を相談できる仕組みや反論機会の有無」

ここで冷静に考えてみましょう。

「働きやすい会社」の質問項目の中に、「360度評価の有無」が入っているのです。

このことは、とても注目すべきだと考えます。

ちなみに、これらの質問項目は毎年見直しされ、質問の入れ替えがあるのですが、この「360度評価の有無」に関する質問は、少なくとも2004年度から絶えることなく毎年質問項目として設定され続けています。

それどころか、2004年の調査においては、この「360度評価の有無」。

「ビジネスマンが重視している項目」の重視度ランキングにおいて、約50個設定されている質問の中で、第19位にランキングされているのです。

「360度評価」は、対象者に気づきを与えて行動改善・能力開発を促す仕組み。

特に管理職にとっては、適切な部下マネジメントを促し、「働きやすい職場」づくりを支援する仕組みであると言えるでしょう。

また、良い取り組みを行なっている人をきちんと評価してあげることもでき、安心感(働きやすさ)を提供してあげることができる仕組みであるとも言えます。

ちなみに、この調査によると「360度評価を導入している」と回答した企業は、25.5%

昨年は25.0%、一昨年は28.1%となっていることから、大企業における360度評価の導入率は約25%程度と言えることがわかります。

4社に1社導入しているという感じです。

しかしながら、アメリカの大手企業の導入率と比較すると1/3以下です。

日本ではまだまだ導入が進んでいません。

そして何より、個人的に気になっているのは、既に導入されている企業で、360度評価の本来の機能が十分に活かされているのかということです。

つまり、「働きやすい会社」のために役立っているかどうかということです。

多くの会社の導入事例を聞いていると、大丈夫かな…と首を傾げることがあります。

単に導入するだけでなく、本当に「働きやすい会社」をつくるためにも、もっともっと有効活用していただくことを願うばかりです。

そのためにも、弊社が持っている様々な支援策をもっと多くの企業で活用していただけるように広めていかなければ…と、新たに誓う私なのでした。

2010年夏。

連日30度を越え、時には体温に迫る気温を記録するなんて、恐ろしい猛暑ですね。

すっかり「夏バテ」しそうですが、これに関連させ「夏ヤセ」のダイエット企画を考えた雑誌(Tarzan 8/26)もあるようです。

そんな雑誌に刺激を受けて、今回のコラムのテーマは「ダイエット」です。

といっても、「ダイエット」なんてしたこと無い方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、「ダイエット」と呼ばなくても、「シェイプアップ」や「健康(メタボ)のための減量」のようなことであれば、誰しも何らかの経験があるのではないでしょうか?

では、ここで思い出してください。

あなたは、「ダイエット」に取り組んだ時、一番最初に何を行いましたか?

ほとんどの方が、次のように答えるでしょう。

「体重計に乗って、現在の自分の体重を測ってみる」

つまり、現在の自分の状況をきちんと確認することからスタートされているはずです。

「ダイエット」するのに、自分の今の体重を知らない人なんていないですよね。

そして、次に行うのは、「目標の体重を決めること」でしょう。

例えば、

「私の体重は、今73kgだ。3ヶ月後に60kg台にするぞ!」

「今よりも、1ヶ月以内に1kg痩せるぞ!」

こんな感じです。

「何となく減らしたいな…」という人は皆無でしょう。

ほとんどの人が現在の体重と比較し、目指すべき体重(または減量したいkg)を具体的に設定されているはずです。

目指すべき目標をきちんと設定しないとやる気も出ませんし、途中で何となくうやむやになってしまいそうですね。

そのような目標設定した上でそれを達成するための具体的な施策に取り組まれていらっしゃるのではないでしょうか?

例えば、「食事の量を減らす」、「甘いものは控える」、「スポーツクラブに通う」、「毎朝、近所をランニングする」などです。

そして、時々、体重計に乗って自分の体重の変化を確認し、そのことで、ダイエットに対するやる気を高めたり、減量のための施策を見直したり、いろんなことを考えられるのではないでしょうか。

=====

これをビジネスの世界に当てはめて考えてみましょう。

「ダイエット」、つまり“理想の状態に近づける”例えば“自分の能力を向上させ、ビジネスパーソンとして鍛える”といったことに置き換えてみます。

では、能力向上を行おうと決意された時、どうされますか?

何かの書籍を読んだり、勉強会やセミナーに参加したり、業務遂行上そのことを強く意識したりして、すぐにでも具体的な何かに取り組もうとされる方が多いのではないでしょうか?

しかし、ここで冷静に考えてみると、“あること”に気がつきます。

「現在の自分の能力がどうであるのか?」に全く関心を払っていない…。

つまり、ダイエットの時には必ず行うであろう「現在の自分の状態確認」を行っていないことに気がつきます。

更に言えば、目指すべき目標の状態も具体的にしないまま進めていることが多いのではないでしょうか?

例えば、Aさんという管理職が、マネジメントスキルを向上させたいと考えました。

Aさんは、その時たまたま読んだ雑誌から、「これからのリーダーに大事なことは、組織ビジョンを明確に示すこと」という記事を見つけました。

啓発されたAさんは、「組織ビジョンの設定」に関する勉強に早速取り組みました。

しかし、Aさんの現在の現場でのマネジメント状況における一番の問題は、「部下とのコミュニケーション」。

特に「部下の話に耳を傾けることができていない」ということだったとします。

しかし、Aさん本人はそのことに全く気がついていません。

Aさんが、現状の問題点を自己認識していれば、目指すべき目標として、「1日最低1回は、全ての部下から話を聞く」「部下が話をしている時は、途中で口を挟むことなく、最後まで聞くようにする」といった内容を設定したのかもしれません。

しかし、このままでは、Aさんはいくら頑張って「組織ビジョンの設定」について学んでも、現場でのマネジメントの状態は向上しないでしょう。

彼は、現状の問題を抱えたまま、悩ましい日々を過ごしていくことになるでしょう。

本来、能力向上を考えるのであれば、「現在の自分の状態を把握すること」、そして、「どの能力をいつまでにどの様な状態に向上させるのか」を考えるべきなのです。

その上で、具体的に何に取り組んでいくのか、どの様に取り組んでいくのかを決めるべきでしょう。

自分の現状(強み・弱み)を理解していないまま、何かに取り組んだとしても、必ずしもそのことが効果的に働くとは言えないのです。

更に言えば、勘違いな取組みで終わってしまうことも出てきてしまうでしょう。

当たり前の考え方なのですが、多くの方が、このことに気づいていらっしゃらない。

そんなことを感じます。

では、自分の現在の能力、特に現在の職場で発揮している能力状態をどうやって正しく把握すればよいのでしょうか?

そのための手法として、「360度フィードバック(360度評価)」が最適であると言えるでしょう。

自分の仕事ぶりを良く知る人達からの、能力の発揮状況に関するアンケート調査です。

この調査によって、「現在の自分の強み」、「現在の自分の弱み」、「周囲から期待されていること」などを明らかにすることができます。

早急に具体的な教育施策を考えることも重要ですが、その前に行うべき「現状認識」の大切さについても考えてみるべきではないでしょうか?

御社の人材教育投資を、効果的で実りのあるものにされたいのであれば…。

企業で人事企画を担当される方であればご存知であろう人事専門誌「労政時報」。

その2010年6月25日発行の3776号に「管理職育成」をテーマにした360度フィードバック(360度評価)に関する特集が組まれています。

私も何年か前に、360度評価の特集記事を執筆させていただきましたが、今回のテーマは、「結果の活用」

やはり、このテーマについては、既に導入されていらっしゃる企業含めて、注目されるテーマになってるのだな…と思いつつ、興味深く拝読しました。

「考え方」や「手法」は、弊社のものとは若干異なる部分もありましたが、共感する内容がほとんどでした。

特に、「実施結果データの活用が十分でない」といった意見には激しく同感しました。

360度評価の結果は、組織強化、人材マネジメントのための【情報の宝庫】です。

十分に活用されていないのはもったいないです。

「結果データの活用」には、以下の2つのことが考えられるでしょう。

  • 個人結果をどう読み取り、個人としてどう活用するのか?
  • 全体結果をどう分析し、人事部としてどう活用するのか?

今回のコラムでお伝えするのは、前者の「個人結果の読み取り&個人活用」です。

※後者についても、全社的な観点から感動するような情報を得ることができます。

 その実践的なノウハウは、別の機会に紹介させていただきます。

先日、複数の大手企業の人事部の方から「現在導入されている360度評価の活用方法」についてお話をいただく機会がありました。

そこで感じた、「え〜っ!」という内容を、少しだけ紹介したいと思います。

残念ながら、予想通り多かった活用方法は、「実施結果を社内便で本人に送付しているだけ」です。

悲しい…、あまりに悲し過ぎます…。

これだと、360度評価の効力の半分も発揮されないでしょう。

こんな内容もありました。

「個々人の結果報告書に自動的にコメントが表示されるのですよ。対象者はそれを読むことで自己理解を効率的に行えるから便利ですよね。」

「え〜っ!」と思い、私は質問しました。

置かれている状況が違うのに、一律のルールでのコメント表示は危険ですよ。誤った解釈につながることもありますし、大丈夫ですか?一度検証されてみては?」

「確かに、表示されたコメントに違和感を感じるといった声も結構出ているようです…。」

また、こんな内容もありました。

「他者結果を高い点数順に並べています。『強み』が確認できるからいいですね。」

「もしや…」と思い、私は質問しました。

本人評価と他者評価のギャップにも着目させていらっしゃいますよね?」

「させていないです。自分で気になる人は見ているかもしれませんが…」

「え〜っ!」…(私の苦悩)。

既に360度評価を導入されている会社であっても、「大丈夫かな?」と感じる運用をされていらっしゃる企業もまだまだありそうです。

せっかくの予算と手間を掛けて実施したのに…。

「あまりにもったいない!何でなんだ〜っ…!」と、心の中で叫ぶ私なのでした。

ファーストリテイリングの柳井社長が2003年に執筆された「一勝九敗」

出版当時、仲良くしていただいていた先輩がファーストリテイリング社で活躍されていらっしゃったこともあり、礼儀(義理:笑)で、ざっと目を通したのですが、そのまま本棚にしまいこんでいました。

出版から約7年。

現在のファーストリテイリング社の躍進の原点を確かめてみたい…

そんな気持ちで、先日改めて拝読してみました。

徹底、厳しい、本気、行動力、そして強い信念…成功者であるだけに、圧倒的な迫力と説得力でした。

経営、マーケティングのみならず、人事評価など感じることは沢山ありました。

中でも個人的に最も注目したのは、「あとがき」に書かれている一節です。

少し長いですが、大事なことが含まれている内容です。

ぜひご一読ください。

※原文をそのまま引用させていただきました。

ぼくは、わがままで欠点の多い人間だとは思うが、「自分自身を客観的に分析・評価できる」という長所を持っている。

以前、当社の役員と部長全員で360度評価というものをやってみた。

自分自身の能力について、自己評価したものと周囲の人たちに評価してもらったものを比較する。

ぼくの結果は、両者が「ほとんど同じ」だった。

ぼく以外の人たちは、自己評価と他者評価がそうとう乖離していた。

ぼくは自信過剰になることもないかわりに、卑下することもないよう性格のようだ。

ぼくが従来の経営者タイプと違うように見られるとすれば、この点が大きいかもしれない。


別に自慢したくて述べたわけではない。

この「自分自身を客観的に分析・評価できる」ことは本来、経営者に必要な資質なのではないか、と思うからだ。


何度も言うが、当社は今まで、失敗を繰り返しながら成長してきた。

考えて実行して、失敗したら引き返し、また挑戦する。

失敗を失敗と認めるのは、自分の行動結果を客観的に分析・評価することができないと難しい。

失敗を失敗と認めずにいると、だらだら続けて傷口が広がってしまう。

無駄なことだ。

柳井社長は“「自分自身を客観的に分析・評価できる」ことは本来、経営者に必要な資質”と書かれていますが、それに対して2つ感じることがありました。

1つは、「自分自身を客観的に分析・評価できる」ことは、経営者のみならず、組織をマネジメントするリーダーであれば身につけていくべき要件であること。

更に言えば、経営者や組織をマネジメントするリーダーへ成長させるために必須であるということです。

もう1つは、柳井社長は“資質”と書かれていますが、それは“資質=生来持っているポテンシャル”ではなく、努力や機会などによって、後天的に身につけることができる“スキル”といったことではないかということです。

そしてこのスキル。

出来るだけ早い段階から、「自分自身を客観的に分析・評価できる」機会を設けることが重要だと感じます。

組織をマネジメントするリーダーが及ぼす影響は大きいです。

リーダーのマネジメントの仕方によって、組織は良くもなり悪くもなります。

360度評価を活用してリーダーに気づきを与え、成長を支援してあげて欲しい。

少しでも早い段階に…。私は強くそう感じます。

改めて、本気の経営者の方から学ばせていただきました。

毎年、GWの前後になると多くの企業で決算発表が行われます。

多くの企業がどん底だった昨年と比べ、徐々に業績が回復させているようです。

(といっても、GW明けの現在、株価急下落で不安な経済状況になっていますが…)

(株価急下落はさておき、)

業績回復の影響もあってか、最近、大手企業を含め様々な企業様からホームページ経由でご連絡をいただき、その後、直接訪問させていただく機会が増えてきました。

昨年度もお問合せは相当な数あったのですが、正直なところ、実際にお問合せしていただいた企業の方と直接お会いすることは、あまり多くはありませんでした。

「現在は予算がなく、直接お会いするまでは結構です。今は、情報収集だけさせてください…」

そんなお話(お断り文句)をお聞きすることが多かったのです。

しかし最近は、直接お話させていただくことができる…。何だかとても嬉しいです。

先日、ある会社にお伺いし、360度フィードバック(360度評価)に関する説明と意見交換&質問対応をさせていただきました。

その際に、先方のご担当者の方から以下のような質問を受けました。

「御社のウリは何ですか?」

実は、この質問。

その数日前にお伺いした企業からも、まさに同じ質問を受けたのです。

(ちなみに、今日もメールで同じ質問を受けました。)

「何と、偶然…!」と思いつつ、私は以下のように答えました。

サービスの“概要”だけ見ると、他の会社とそんなに違いは無いでしょう。

もちろん、360度評価のWeb回答の機能や使いやすさなどがあるかもしれませんが、その部分が他社と比べて、圧倒的な優位性を誇っているとまでは言えないと思います。

弊社のウリは、

実際の導入支援経験から得ることができた実施の成功リスクの回避のための細かな配慮まで提供できること。

導入に向けた企画〜実施(実務)支援〜分析による組織問題の抽出〜結果のフィードバックまで、全てのプロセスをお客様のご要望に応じて柔軟に支援できること。

です。

私は、これまで、様々な企業において360度評価の導入支援に携わってきました。

その経験の“数”“種類(活用目的のバリエーション)”について言えば、日本で最も経験の多いコンサルタントの一人だと思います。

その中で、成功事例だけでなく、予想通りには上手く活用できなかった事例などからも、実施における改善、反省すべき点をたくさん得ることができました。

「何故、上手くいかなかったのだろう」

「何故、こんなトラブルが生じてしまうのだろう…」

それは、導入実務上の細かな作業レベルのことから、結果活用における様々な工夫など一般的な書籍(理論書)などには、書かれていない内容です。

360度評価は、皆さんご存知のとおり、対象者や従業員にとって非常にセンシティブな(細心を払うべき)仕組みです。

実施プロセスはもちろん、いかに有効に結果を活用していくのかにおいては、些細な配慮が、実施の成否に大きな影響を及ぼします。

「どんなことが従業員の心理に影響を及ぼすのか?」

「具体的には、事前に何を配慮すべきなのか?」

教科書(理論書)だけではなかなか気がつかない些細であり大事なこと。

それを押さえ、痒いところに手が届く配慮あるサービス。

 弊社のウリはここにあります。

ちなみに、料金面も大手に比べるとウリと言えるかもしれませんね(笑)。

そんな回答をしました。

「神は細部に宿る」

机上の理論、理屈だけでなく、数多くの実務経験を得たからこそ、押さえることができた些細な配慮や様々な工夫をこれからも大事にしていきたいと思っています。

そして、360度評価が本来持っている素晴らしい機能を、できるだけ多くの人達に伝え、ビジネスパーソンとしての成長につなげてもらいたい…。

そんな想いを持って、今後も取り組んでいきたいと改めて感じました。

2010年3月31日の日経産業新聞に、ソフト開発のワークスアプリケーションズの記事が大きく掲載されています。

「とがった人材の採用」

そのために同社は、東京工業大学の最寄り駅、学校近くの定食屋などに人材募集のポスターを掲載しているとのことのようです。

これだけなら、特筆すべきことではないのですが、何とこのポスター。

その内容は、ソフトウエアをプログラミングする際の「ソースコード」で書かれているのです。

普通の人が見ると、まさに暗号。何が何だか全く分かりません(苦笑)。

その分野で、優秀な学生にしかわからない“謎の広告”。

電車や注文した定食の待ち時間に目を留めて、面白そうにじーっと読み込む学生達。

これを解読できる学生だけに的を絞る。

「とがった人材を採用するための、とがった採用広告」

面白いことを行うな…と感心してしまいました。

このワークスアプリケーションズという会社は、約1ヶ月前にも注目が集まりました。

日経ビジネス(2010.3.1号)に発表された「働きがいのある日本企業」において、2010年度の第1位に選ばれたのです。

私がこの会社のことを注目したのは、今から3〜4年間です。

優秀な人材を採用し、活かしていくために独特な仕組みを取り入れている会社であり、何とも言えないワクワク感を感じたことを覚えています。

私が学生だったら、チャレンジしてみたかった会社の1つです。

そして何より私がこの会社に注目した理由は…。

そうなのです。「360度フィードバック(360度評価)の活用」です。

上記の日経ビジネスの記事から一部を引用させていただくと、

− ワークスが重視しているのは結果よりもプロセス。

− 結果だけを意識すると挑戦意欲が失われる、と考えている。

− その評価手法は相互多面評価を取る。

− 自分を評価する同僚を指名し、自分の行動を評価してもらう。

− この“同僚評価”を基に、各人の年俸が決まっていく。

− 評価の軸は「Works Way」という経営理念を実現するための行動指針。

360度評価結果の年俸反映といった大胆な活用方法もさることながら、企業理念の浸透(行動定着化)といった点に注目したいです。

これは、ジャック・ウエルチ氏(元GE)や日産自動車の大改革を行ったゴーン氏が日産への着任間も無い頃に、管理職に実践して欲しい行動を意識させ実践させるために行った活用方法でもあります。

360度評価は、様々な場面で活用できるコミュニケーションツールですが、経営から社員へのメッセージ伝達を行うツールとも言えます。

360度評価が持っている魅力を最大限に活かしているワークスアプリケーションズ。

さすが、「働きがいのある日本企業」の第1位です。

今回ご紹介するのは、上記のタイトルどおり、「チームワーク」に関する360度評価の活用事例です。

しかし、「チームワーク」というテーマとしては、意外な会社でもあります。

外資系企業の代表格であるゴールドマン・サックスです。

“意外”などと表現すると失礼なのかもしれませんが、正直、「ゴールドマン・サックス」と聞けば、私だけでなく多くの方々も、個人業績を重視し自己アピールを尊重するといった、まさに「チームワーク」とは対極にあるような会社をイメージされるのではないでしょうか?

以下の記事は、もう3年も前の記事ですが、非常に興味深い内容です。

注目すべき内容をピックアップします。

− チームワーク重視を金看板に据えており、「『I did』、私がやったと言うな、『We did』と言え」というカルチャーがある。

− チームワーク重視の理由は、お客様が求めるベストなサービスを素早く提供するには、瞬時にプロジェクトチームを結成し、しかもグローバルベースで展開することが必要であるため。

360度人事評価制度を導入。ボスの適正な評価と社員の納得性を高めることが目的。毎年1回、入社直後の社員から経営トップまでの全社員が対象。

− 実施結果はレビューにまとめられ、上司にフィードバックされる。上司は、部下のレビューを見て、ビジネス上のスキルはどう評価されているのか?チームワークはどうなのか、などを把握し、どういう評価を下すべきか考える。そして、来期に向けて部下をどういうふうに伸ばしていくのかを真剣に考えて部下との面談に望む。

レビューは、同社が最大の価値を置くチームへの貢献度も一目瞭然となる。仮に、チームでの主導権を取りたいがために教えるべき点を教えていなければ痛い目に遭うことになる。

− 360度評価結果は、上司の横暴な言動を牽制するだけではなく、「社員にとっても自分はフェアに評価されていると思う」という重要な機能も果たしている。

※プレジデント(2006年12月18日号)の溝上憲文氏のレポートより引用

http://www.president.co.jp/pre/backnumber/2006/20061218/1186/

記事は約3年前に書かれたものですが、基本的な姿勢は今でも変わっていないと思います。

個人的に非常に印象に残ったことは、

「お客様へ高い品質のサービスを提供するためには、チームワークが必要である」

「360度評価の対象者が、全社員であること」

「チームワークを組織に浸透させるための手法としても活用されていること」

などです。

強い組織は、「強い想い」があり、「それを実現させる施策」を愚直に実行されている。

強い組織づくりのために、「360度評価」を有効に、そして真摯に活用されている。

本気で組織を強くしたいと思っていらっしゃるのだな…。

改めて、そんなことを感じた私なのでした。

2010年1月8日(金)の日経産業新聞に、「人事・採用担当の関心事」というテーマの記事が掲載されていました。

ご覧になられた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

インテリジェンス社が2009年12月頭に行った「人事・採用担当者1000人を対象としたインターネット調査」の結果の一部を紹介しています。

採用関係の記事が中心なのですが、後半には「従業員の育成」に関する結果の一部も公開されています。

※詳しくは、インテリジェンス社のホームーページをご覧ください。(http://www.inte.co.jp/corporate/library/survey/20100106.html

「従業員の教育・育成に関して、10年は09年と比較してどういった対応を検討中ですか?」

この質問に対する回答結果(有効回答数1000)は、

42.5%が「強化したい」、37.0%が「変わらない」、7.6%が「抑制したい、12.5%が「分からない・未定」

という内訳でした。

また、上記質問で「強化したい」と回答された企業に対して、更に具体的な項目について質問されています。

それに対する回答結果(有効回答数425)は、

56.4%が「研修を強化」、39.9%が「ジョブローテーションや異動による活性化」、37.8%が「OJTの強化」(複数回答有)

だったようです。

多くの企業においては、まさにこの1月は来期の予算取りの大詰めではないでしょうか?

2009年は、ほとんどの会社において研修費用を抑制されていました。ほとんどゼロへと削減された企業も多かったようです。

2010年は、その反動が徐々に出始めているといった表れなのかもしれません。

しかしながら、まだまだ確実な業績回復は見えていません。

教育に関する予算も十分には確保することが出来ず、予算面においては、まだまだ悩んでいらっしゃる教育担当者の方も多いようです。

そんな中、幾つかの企業から以下の様な相談を受けています。

「教育対象としたい社員全員に研修を実施するのは、今年は予算面で苦しい。

360度サーベイ(評価)を活用すれば、限られた予算の中で、一度に多くの対象者に対して、人材育成のきっかけを提供できるのではないか…

実施において注意・工夫すべき点はありますが、360度サーベイは、限られた予算の中で一度に多くの対象者に実施可能であり、その結果のフィードバック説明会も、研修と比べると短時間で済ませることができます。

そして、「結果読み取り説明会」ということであれば、研修よりも一度に数多くの受講者を参加させることが可能です。

その意味で、360度サーベイは、コストパフォーマンス高い人材育成手法と言えるでしょう!

また、360度サーベイは、現在の自分を見つめ直す機会を提供するものです。

こんな時期だからこそ自分を見つめ直し、力を本領発揮すべき時のために、自分を強化しておくことが重要ではないのでしょうか?

限られた予算によって無理に対象者を絞って研修を実施するよりも、360度サーベイを活用して、多くの社員に自分を見つめ直させる機会を提供し、来るべき景気回復の予兆に備える…。

厳しい経済環境だからこそ、隠れた機能を沢山持っている「360度サーベイ(360度評価)」を有効に活用して、人材育成の機運を高める支援が出来れば…と、新年の決意を新たにした私なのでした。

時々、企業の方から質問や相談を受けるテーマのひとつに「キャリア」ということがあります。

「キャリア開発」、「キャリアデザイン」、「自らのキャリアマネジメント」…。

質問や相談は、

現在、社内でキャリア体系の見直しなどを行っている。その際、単に体系をまとめるだけでなく、しっかりと運用できる仕組みが欲しい。」

「社員に自分のキャリアをしっかりと考えさせ、自ら努力させるような仕組みはないか…」

このような内容が多いのです。

私は、キャリアのスペシャリストではありませんので、この場で、キャリアに関する理論的なことや専門的なことを書くつもりはありません。

ただ、私は、以下のことを大事に考えていただきたいと思っています。

キャリアは、自分の人生。

質的には本人の自己責任のもと、本人に任せるべきもの。

とは言え、社内でのキャリア開発を求めるのであれば、会社として適切な支援を行うことを忘れてはならない。

このことは、社員を動機づけ、そして成長へ導いていく。

キャリアの基本的な考え方は、「自分の将来像の設定」と「現在の自分の状態の認識」、そして「そのギャップを埋めるために何を行うのかを考えること」と言えるのだと思います。

ここで考えてみましょう。

「自分の将来像の設定」は、自分なりに夢を描くこともあり、または会社から幾つかの選択肢を提示されることもあるでしょう。

前者は、自分の意志でまずは自由に決めることが大事だと思いますし、後者は、キャリア体系・コースであったり、特定なポジションであったりするでしょう。

しかし、ここで大事なことは、「現在の自分の状態の認識」です。

人は、思っている以上に、自分のことを正しく認識できないことが多いものです。

自分では出来ているつもりが、実際には出来ていない。

キャリア開発が必要な人こそ、自分を冷静に客観視することが十分に出来ていない傾向があるのではないか…そう思うことがあります。

「現在の自分の状態の認識」が曖昧であったり、勘違いしていたりすると、将来像とのギャップも間違ったものになり、そのために行うべきことも間違ったものになってしまいかねません。

効率が悪い…で済めばよいのかもしれませんが、間違ったことを行うことで、キャリア形成に頓挫してしまうことも生じるかもしれません。

そのため、これまでお手伝いしてきた企業においては、「現在の自分の状態の認識」のために、360度評価を提案し、実際に数社において活用していただいています。

360度評価によって、客観的な自己認識の支援を行うのです。

ただし、「キャリア形成支援」を目的で実施するためには、「広報」「実施の仕方」「フィードバックの仕方」などにおいて、工夫することが大事になってきます。

使い方を間違えると、後ろ向きなアセスメントと勘違いされてしまうかもしれません。

キャリアを考える本人の立場になって、どんな工夫を行えば良いのか…。

前向きな気持ちにさせることが第一ですし、会社で設計されているキャリア体系との連動をどう考えていくことも必要となってくるでしょう。

360度評価を有効活用して、社員のキャリア開発を支援。

キャリア体系をつくるだけが人事部の仕事ではありません。

大事なことは、それを実行に社員に有効活用されるように支援すること。

ますます厳しい経済環境ですが、人事は社員のことを大事に想う存在であって欲しいです。

※上記の工夫などについてご興味ある方は、お問合せください。

先日、とある企業の人事企画部長さん(ここではAさんとしておきます)と、360度サーベイの実施について話をしていました。

その中で、私自身が改めて気がついたことを書き綴っておきたいと思います。

その企業は、社員数百名。

360度サーベイは、一昨年から管理職を対象に導入されています。

導入時に考えていた目的は、「管理職の意識改革と行動改善」でした。

久々にお会いし、弊社が作成した『360度サーベイガイドブック』をお土産代わりにお渡ししました。

そして、いろいろな話題に花が咲く中、「360度サーベイの実施目的は?」というテーマについて議論が盛り上がりました。

360度サーベイは、主に、以下のことを目的として実施することが多いです。

人材育成、特に管理職層の意識改革、行動改善、スキルアップ組織の強化、風土改革、活性化、理念浸透人事評価の客観性向上

などと話をしていたら、Aさんは、次のようなお話をされました。

2年間、360度サーベイを実施していく中で、いろいろなことを考えた。

「自分は、360度サーベイによって、最終的に何を実現したいのだろう?」

そして、1つの結論に達した。それは、『業績の向上』ではないかと。

もともと直接的に期待したことは、対象者の意識改革と行動改善。

ところが、実施結果を対象者である管理職にフィードバックしたところ、部下との関わり方に変化がみられ、部下の活動も改善していった。

丁寧なフィードバックによって、結果を真摯に受け止めさせたのが良かったのだろう。

そう感じている。

そして、継続的に意識づけさせたことが良かったのかもしれない。

部下の行動改善は、お客様への直接的な対応の向上につながり、結果として売上増大が実現できている。

目の前に、そういう事実がある。

もちろん、売上が増大したことは、必ずしも360度サーベイの実施のみが原因になっているとは限りませんが、2年間の継続的な実施とフォローを通じて、現場の意識と行動が変わってきたことには間違いがないようです。

私自身正直言えば、360度サーベイの実施目的を、「業績向上」とまでは言い切ることはできませんでした。

しかし、この様なお話を聞かせていただき、改めて360度サーベイの現場での威力・影響力を再発見することができたように思いました。

現場で働く従業員の意識と行動が変わることは、企業の活動レベルを向上させることである。

実際の成功事例には迫力がありました。

しかしそのためには、細心の注意を払ったフィードバックが重要なのだと、改めて実感した私でした。

2009年10月29日(木)の日経産業新聞の1面に、興味深いキーワードが載っていました。

「『新360度評価』で選別」 りそなホールディングスが…

何だ、この「新360度評価」って…?

正直、少しびっくりした私ですが、記事を拝読すると以下のようなことがわかりました。

りそなホールディングスが、サクセッションプラン(後継者選別・育成計画)において、対象者を様々な観点と手法によって資質のチェックを行うというものでした。

具体的には、

会長が「面談(経営課題への考え方や将来想定される事態への対処方針などを質問)」

社外取締役が「会長面談への同席」

人材コンサルティング会社が「ケーススタディーにおけるシミュレーションを活用した面談」

そして部下が「70項目について5段階評価」

を行うということです。

社外の目を徹底活用し、社内の人事権者の思い込みや情実を排除すること、そしてリーダーとしての育成が目的のようです。

素晴らしい取り組みであり、納得感高い評価手法だと感じました。

ただ難点としては、手間とコストが掛かりすぎるので、今回の様に、次期経営者選抜のように特定の対象者に対する評価以外に実施するには、現実的には難しいかもしれませんね。

しかしながら、様々な立場の方から、多くの観点によって対象者の実態を明らかにしていく手法は、まさに「360度フィードバック(360度評価)」

ただ、「360度評価」にが付加して「新360度評価」と表現していることについては、正直、どうなのか…。

ちょっと誤解や違和感があるのでは…そんな気もします(笑)。

今回の事例で感じたことは、

360度という様々な観点からの観察評価は、対象者の実態を明らかにすることができる。360度評価は、必ずしもサーベイ調査だけでなく、他の手法も組み合わせるとより効果が高まるだろう。いろいろな工夫が考えられるな…。特定少人数だけでなく、特定階層のような人数が多い場合は、やはりサーベイ手法による360度評価が有効だろう。

良い意味で、いろいろ考えさせていただいた新聞記事でした。

私が「360度評価」の素晴らしさに目覚めたきっかけは、企業情報>SDICの想い書かせていただいたとおり、自分自身の痛切なる体験でした。

しかしそのこと以外にも、360度評価に関して、私の心を震わせた出来事がありました。

今回のコラムは、そのことを綴ってみたいと思います。

1990年代になって、日本企業でも「リストラ(人員削減策)」なるものが行われ始めました。

それまでは、「リストラ」なんて、アメリカ企業では当たり前であっても、日本企業で行われることなんて考えられなかっただけに、インパクトがある出来事であったように覚えています。

日本経済新聞に、「リストラされた社員の談話に基づいたコラム記事」を偶然見つけたのは、そんな頃でした。

今から15年近く前のことだったと記憶しています。

その社員が属していた会社は「リストラ対象者の選定⇒キャリア研修受講⇒早期退職に関する面談」といった手順でリストラを行っていたようでした。

そして、そのプロセスの中で、360度評価が登場していたのです。

360度評価は、「自分のキャリアを見つめなおす…」それを支援するツールとして活用されていました。

キャリア研修の中で本人にフィードバックされ、自分の過去、現在、未来を考えさせる。

360度評価は、リストラの理由づけのために活用されるのではなく、今後のキャリアを考えるために活用されていたようです。

前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。

リストラ対象となって面談を受けた方(50代後半?)のコメントが、その新聞記事に掲載されていたのですが、その内容は当時の私(30代前半)にとって非常にインパクトあるものでした。

彼は、以下の様にコメントしていました。

リストラ対象となったことは、正直ショックだ。

しかし、そのことは悔しいながらも仕方ないと受け止めるとして、今、一番頭の中に強く感じていることは、この360度評価をもっと若い頃にやって欲しかったということである。

若かった頃に、自分の強み・弱みに気がついていれば、現在置かれている「このような事態」にはならなかったはずである。

このことが一番悔やまれる…。

ただ、これからの新しいキャリアを考えていく上で、このデータは参考にはなるであろう…。

正確な表現は覚えていませんが、このような内容の記事であったように記憶しています。

上記でリストラ対象となってしまわれた方は、能力的に何らかの問題を抱えており、成果もうまく出せなかったのでしょう。

しかし、リストラ対象になった彼がコメントしていたように、年を重ねてからではなく、その時点(もっと早い段階)で、「自分の仕事面・人間関係面での実際の状態」に気づかせてあげていれば、彼の人生は、明るいものになっていたのだと思います。

「自分自身の状態に気づくこと」

その大事さを実感できず、そのまま放置している人も少なくないでしょう。

また、その大事さが実感できていたとしても、自分のことを正しく理解できている人は、必ずしも多くないと思います。

多くの方々は、「自分自身で思っている自分」と「周囲に伝わっている自分」との間に、相当のギャップを持っているのが現実です。

本人にきちんと「現在の自分の状態」を気づかせてあげることは、その人の人生を良い方向へ変えてあげることにつながっていくのだな…。

上記のリストラ記事によって、360度評価の意義について深く考え、そして目覚めた私なのでした。

「実施結果を自社で分析したのですが、その結果を見ていただけませんか?」

そんな問合わせを受けることがあります。

その会社にお伺いして分析結果を拝見すると、割と多くの会社が行われている分析の1つに、「部門別(職種別)比較」があります。

例えば、「営業部門」と「スタッフ部門」との比較。

メーカーの場合、上記部門以外に、「開発部門」、「研究部門」、「製造部門」との比較などを行われています。

部門ごとの数値を並べ、グラフで表現されたりしています。

中には、高い順番にランキングされている会社もありました。

そして、次のような質問も受けます。

「評価平均点が低い部門は、問題があるということですよね?今後どうすれば良いのでしょうか?」

「他社と比べて弊社の結果(評価平均点)は、高い方でしょうか?低い方でしょうか?」

ここで冷静に考えてみたいのです。

部門別の評価平均点の高低を比較することに、どれだけ意味があるのだろうか…?

他の会社の値と比べて意味があるのだろうか…?

これまで多くの会社において360度フィードバック(360度評価)の分析を行ってきました。

その分析経験から、以下のようなことが言えそうです。

1.部門による評価点に高低が出るのは当たり前

組織内のコミュニケーション量が多い営業部門などは、比較的高め、逆にコミュニケーション量が少ない研究部門などは、比較的低めになる傾向があります。

よって、部門間を点数で序列化することって、どうかなって思うのです。

2.上司評価結果は低めであり、逆に、部下・後輩の評価結果は、高めに出る傾向があります。

人は、評価する際に、自分の能力・行動レベルを基準として評価してしまうからでしょう。

3.他の会社と評価平均点を比較することは意味がありません

会社によって、360度評価を実施する背景、広報内容、実施手順、評価者の選定基準などが異なるため、単純な比較はできないのです。

更に、会社の風土なども影響しているので、解釈する際は要注意です。

4.比較すべきは、「特徴」であると考えます。

部門にしろ、会社全体にしろ、比較して、その課題を明らかにしたい場合は、「特徴」に注目すべきです。

といっても、注目すべきポイントには、コツがあるのですが…。

他にも書きたいことは沢山ありますが、ここではその一部を紹介させていただきました。

360度評価は、様々な観点で分析すると、新たな発見があります。

ただ気をつけるべきは、間違った観点で分析を行い、その結果を解釈してしまうことです。

本質とは異なる、とんでもない方向に組織を進めてしまう危険性がります。

しかしながら、360度評価の分析によって、今後の人材マネジメントにおける様々な示唆を得ることも多いのです。

結果を本人にフィードバックして個々人の育成に」、そして「全体結果を様々な観点で分析し、会社や組織の強化に」と、1粒で二度美味しい。

360度評価は、そんな意味でも嬉しい手法なのです。

ご興味ある方は、お気軽にどうぞ!⇒クリック

「中村俊輔」選手って、皆さんもご存知ですよね。

サッカーの日本代表メンバーを経験し、スペインリーグのエスパニョールに移籍。

その後日本に戻り、横浜F・マリノスに所属されている有名なサッカー選手です。

私は、以前、サッカーJ1リーグの「あるチーム」のコンサルティングを行った関係で、サッカー関係者の方々とお話する機会が増えました。

先日、その中でも特に親しくさせていただいている方と、会食しました。

その方は、以前はJ1チームの監督を経験されたこともあり、サッカーに対する愛情はもちろん、奥深い人間的魅力の持ち主です。

まだプロになる前の中村俊輔選手を直接指導されたこともある方なのです。

そんな会食のテーマは、サッカーそして人材育成に関することでした。

その中で、上記の中村俊輔選手に関する非常に興味深い話をお聞きしました。

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話は少し逸れますが、今、このコラムをご覧になっている方々の中で、中村俊輔選手が2008年5月に出版された「察知力」(幻冬舎)という書籍をお読みになった方はいらっしゃいますか?

私は、「サッカーについて書かれた本を読んでも、あまり意味がわからないだろうな…」とあまり期待しないで拝読したのですが、「何とも言えない感動」を覚えました。

サッカーのみならず、ビジネスパーソンにも十分に適用できる考え方に溢れている良書だと思います。

何だか、ビジネスパーソンのハイパフォーマーにインタビューしているような感覚さえしました。

お勧めの一冊です。

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それはさておき、本題に戻ります。

中村俊輔選手は、小さい頃、きゃしゃな体で背も低かったため、コンプレックスを持ちながら、人一倍練習していたようです。

これは、一流のプロ選手となった現在でも自分に満足したり達成感を感じたりすることなく、多くのことを貪欲に吸収しながら成長を続けているようです。

そして何より特筆すべきことは、彼は自分の成長のために、周囲からのアドバイスを積極的に聞き入れていたということです。

普通、一流のプロ選手ともなると、自信(プライド)が大きくなってくるために、他者からアドバイスされることは、あまり好ましく思わない人が増えてきます。

ここで実名は出せませんが、有名なプロ選手は、他者からアドバイスされることをあまり嬉しく思わず、真剣に耳を傾けるようなことはしない。

全体的にそんな傾向があるそうです。

これは、ビジネスの世界でも全く同じかもしれません。

高い業績を上げている組織マネージャーが、「あなたのマネジメントの欠点は××××なので、その点を□□□□に変えたほうが良いですよ!」と、低い業績しか上げられない別の組織マネージャーからアドバイスされたら、いくら客観的には正しい内容であったとしても、素直に心から喜んで聞き入れる方は少ないでしょう。

ところが、中村俊輔選手は、相手が誰であろうと、自分にとって役立つ情報やアドバイスは、積極的に聞き入れていたようです。

特に、自分のプレーが、客観的にどうであったのかについて知りたがるのだそうです。

そのため、自分がプレーした試合のビデオを何度も何度も確認し、自分の現状プレーを確認・自己理解し、次に向けた改善点を見つけていくのだそうです。

周囲からのフィードバックを積極的に受けたり、自分のプレーをビデオで確認したりして、自分を客観視することで、新たな改善点を見つけ出し、そして高いレベルへと改善していく。

彼は、上記の著書「察知力」の中で、以下のように書いています。

自分のことを知らないと成長はできない。

足りないことを認知して、これを補うために工夫すること。

今与えられた環境のなかで、何をすべきかを察知できない選手は激しい競争のなかでは生き残れない。」

他者から多くのフィードバックを受け、自分の現状を客観的に理解すること。

まさに、「360度サーベイのフィードバックを活用した自己理解」と全く同じことを彼は言っています。

彼が、ビジネスの世界の人であったなら、360度サーベイのフィードバックを取り入れた能力開発を率先し、サッカーと同様にハイパフォーマーになっていくのだろうな…。

そう感じてしまった私なのでした。

360度評価を初めて導入される会社をお手伝いさせていただく時に、必ずといってよいほど出てくる相談ごとがあります。

それは…

「360度評価のネーミングはどうするのがよいでしょうか?」

ということです。

これには、答えはありません。最終的には、好みの問題にもなります。

と答えつつ、実は物凄く大事なことなのかもしれません

そもそも「360度評価」が、世の中で大きな誤解を受けているのも、このネーミングが良くないのではないかと思っています。

「評価」という、微妙であり、一般的にはあまり好まれない単語を使ったために、「360度評価」の日本における普及は遅れてしまったと言っても過言ではありません。

以前、これまでどんなネーミングが使われているのかを調べたことがあります。

古くは、「適性観察調査」、「姿勢自己診断援助制度」などとネーミングされたものもありました。

また、英語を活用して「プロフィール・サーベイ」「プロフェッショナル・リーダー・ディベロップメント」「リーダーシップ・プラクティス多面制度」など、なるほどなぁ〜と思わせるネーミングもありました。

今から15年くらい前ですが、「オープン・マインド・フィードバック」と名付けた会社がありました。

個人的には、とっても好きなネーミングでした。

それはさておき、アメリカ本土では何と呼ばれているのでしょうか?

聞くところによると、「マルチ・レイター(Multi・Rater)」「360度フィードバック(360degree・Feedback)」などと呼ばれているそうです。

また、アメリカ企業の方から、「お客様の評価結果も組み入れた場合、450度フィードバックって呼ぶこともあるよ!」と教えていただいたこともあります。

個人的にも、一人でいろいろ考え悩んだことがありました。

その時、私なりに納得したネーミングは、これです!

「インタラクティブ・コミュニケーション・サーベイ」

「インタラクティブ・フィードバック・サーベイ」

もう一つという感じですが(汗;)、ネーミングには、「意志」を込めたいな…って思います。

人事部門の方が考えている以上に、従業員の方は、ネーミングに敏感な場合があります。

「良いものは誤解のないように、良いものとして正しく伝えたい。」

人事の仕事をしていて、いつもそんなことを感じてしまいます。

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