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*360度フィードバック(360度評価)導入において必要となる基本的な知識のポイントを紹介しています。
あくまでノウハウの一部ですが、ご参考にしていただければ幸いです。
なぜ今360度フィードバック(360度評価)が注目されているのでしょうか?
働き方が多様化し、そしてリモートワークの急速な浸透により、管理職は従来のマネジメント+αの対応が急務となっています。
どのようなマネジメント行動が求められているのか?
自分なりに工夫して行動していることが部下に受け入れられているのか?
これらを確認し、マネジメントの向上を図るために、改めて360度フィードバック(360度評価)の必要性が高まってきているのです。
では、360度フィードバック(360度評価)とはどのようなものでしょうか?
我々SDIコンサルティングは360度フィードバック(360度評価)を、
上司、部下、同僚が対象者の能力を評価するものではなく、対象者の職場での行動が「周囲にどのように伝わっているのか」「周囲はどのように受け取っているのか」を整理して対象者本人に伝える(フィードバック)する仕組み。だと考えています。
では、ここからは特に大事であると考えている360度フィードバック(360度評価)の3つのポイント(キーワード)についてお伝えします。
1.行動観察
360度フィードバック(360度評価)は「対象者の”能力”を評価するもの」ではありません。
あくまで、「日頃対象者が職場で取っている行動を観察し、本人にフィードバックするもの」です。
つまり、対象者の行動が周囲にどのように伝わっているのか?
その状況を周囲の人が感じたことを本人に伝えるものであるということです。
部下は、自分より高い能力を持った上司の“能力”を評価することは出来なくても、対象者の行動がどのように発揮されているのかを見たり、感じたりすることはできるはずです。
360度フィードバック(360度評価)とは、「現在の行動状態を周囲にはこのように伝わってますよと伝えることで、自分の行動状態を気づかせ、そして行動改善を支援するための仕組み」なのです。
2.設問設計
360度フィードバック(360度評価)の実施目的を達成するためには、設問にこだわることが重要です。
各社毎に設計したオリジナル設問は、それぞれの会社が従業員に求めているものを反映できますし、回答することを通じて会社が求めている行動を振り返ることも出来、対象者のみならず回答者も気づきを得ることが出来ます。
設問に向き合うことにより、求められていることがクリアになり、より自社に合った育成に活かすことが出来ます。どの会社に対しても一律に使用している汎用設問ではなく、自社の経営戦略や風土、実施目的(課題解決など)に合致した設問にこだわることがとても重要です。
3.フィードバック(個人結果の返却)
360度フィードバック(360度評価)の実施効果を高めるためには、設問設計だけでなく個人結果の返却においても、フィードバック研修・説明会、場合によっては個人面談を組み合わせるなど工夫を加えることが重要です。
フィードバックを疎かにしてしまうとただ結果を受け取るだけで、行動改善にどこまでつながるかは個人次第(見なかったこと、やり過ごすことが出来てしまう)になってしまいます。
フィードバックをしっかりと行うことにより、結果を前向きにとらえ、自身の行動からくる周囲との関係性や強み弱みなどの状態を知り、目指す方向へ進む後押しができ、対象者のみならず組織に対する効果を高めることが出来ます。受け止め方の違いにより実施効果に違いが出てしまうことのないように、結果をキチンと受け止めさせ、より気づきを得ることが出来る工夫を加えることが重要です。
※詳しくはこちらもご覧ください。
■360度フィードバック(360度評価)とは
1)一般的な定義内容、見直される定義内容、さまざまな呼び名、対象者
4つの活用目的
360度フィードバック(360度評価)の活用目的は、「人材育成」「現状把握」「組織づくり」「人事評価」に大別されます。ほとんどの企業が「人材育成」を大前提として、別の目的を組み合わせて活用しています。
1.人材育成
人材育成を目的として活用する際に重要なことは、「現在の状態(強み・弱み)を正しく認識させること」です。
ここが曖昧だと適切な人材育成は実現できません。
360度フィードバック(360度評価)は、職場での行動が周囲にどのように伝わっているのかを気づかせます。その上で「今後さらに高めていく強み」「見直すべき課題」を明らかにし、具体的な改善施策を考え、実践していきます。
多くの企業では、管理職に登用した際に「新任管理職研修」を受講させるものの、その後は特に育成施策を講じていないケースもまだ多く、それだけに既任の管理職に対する何らかの育成施策が求められているという背景もあります。
もちろん、管理職を対象とするだけでなく、中堅社員などに対し360度フィードバック(360度評価)を実施され、効果を上げている企業も少なくありません。
2.現状把握
360度フィードバック(360度評価)の実施結果を経営・人事視点で分析すると、個々の対象者(管理職)がどのように行動しているか、組織内の人間関係はどのような状況であるのかを把握することができます。
人事部が持っている個々の管理職情報は、上司の”主観”に基づいた評価結果や組織業績であり、必ずしも現場の実態を表しているとは限りません。
特に、大手企業や拠点数が多い企業、メーカーのように工場が離れた地域にある企業においては、人事部が現場の実態を把握することは難易度が高いため、現状把握を目的とした活用が多いと言えます。
3.組織づくり(組織活性化)
「チャレンジ精神あふれる組織」「風通しが良い組織」などをつくるために、管理職が取るべき行動を定義し、それを理解、実践させていくことによって強い組織や良い組織をつくることを支援します。
360度フィードバック(360度評価)の実施プロセスは、回答する多くの従業員を巻き込むため、組織全体の意識改革プログラムとしての効果も高いと言えます。
会社として大事にしたい、バリューや経営理念の浸透に活用する事例も増えています。
4.人事評価
「人事評価」と一言でいっても、様々な場面での活用があります。
評価を報酬(月例給与や賞与など)に反映させることをイメージしがちですが、昇進昇格の参考資料や、適切な異動配置への活用などいくつかの施策が考えられます。
大切なことは、360度フィードバック(360度評価)の結果をダイレクトに賃金に反映している企業は意外と少なく、安易に導入すると弊害を生じるということです。あくまでも参考情報として活用されることをお勧めします。
人事評価として活用される際には慎重になる必要があります。
着目したい活用方法
最近の傾向として、単に「気づきを与える育成手法」としてだけではなく、以下のような活用が増えています。
1つめは「人と組織の課題の解決手法としての活用」です。
これまでの360度フィードバック(360度評価)は、研修会社などが提供している標準設問を使用して実施し、対象者に一定の気づきを与えることを目的とする活用が多くみられています。
しかし最近は、各企業の人や組織の課題に合わせて自社独自の設問を設計して実施されるケースが増えています。例えば、課題解決を支援するための手法として次のようなものがあげられます。
・「働き方改革の推進支援」
・「チャレンジ精神あふれる組織をつくる」
・「働きがいのある組織をつくる」
・「風通しが良い組織をつくる」
・「組織間の連携を高め、生産性向上や新たな価値創造の推進」
・「経営ビジョンや企業理念の浸透と実践定着」
・「ハラスメントの実態把握と改善」
・「OJTを推進させる」
・「メンタル不全」
・「若手の早期離職」
・「1on1の推進」
・「会社としての人材状況の把握、そして鍵となる人材への着目」
など、具体的なテーマに活用した事例です。
最近では、
・ リモートワークにおける、管理職とメンバーの関係性把握
などの事例も増えてきています。
2つめは「人事部のモニタリングツールとしてのさらなる活用」です。
前述の活用目的「2.現状把握」の更に深い活用です。経営的視点から現場の実態や施策をある程度数値化して可視化しながら、次世代リーダーの育成や現場の人材発掘、施策の見直しに生かす事例も増えています。
3つめは「実施後のフォロー施策」です。
「エビングハウスの忘却曲線」などから言われているように、人は学んだことをどんどん忘れてしまいます。そのため「一定期間後のリマインド」「上司の現場での関与」などを通じて、実施後の職場での実効性が重視されてきています。実施後の効果に対する着目と期待がより高まってきています。
このように、使い方、活かし方次第で効果が大きく高まる360度フィードバック(360度評価)は、まだまだ多くの可能性を秘めているのです。
なぜ導入に失敗してしまうのか?
360度フィードバック(360度評価)の有効活用について解説しましたが、ここでは360度フィードバック(360度評価)を失敗させてしまう原因をご紹介します。
導入における失敗とは?
そもそも360度フィードバック(360度評価)の導入における”失敗”というのはどのようなことでしょうか。「導入した結果、組織の状態が悪くなった」ということ。そして「導入したが期待したような効果が上がらなかった」という2つの観点があります。前者は、犯人捜し、疑心暗鬼が生じる、組織内の雰囲気が悪くなる、といったこともあれば、上司が部下に媚びる。といったことなどがあるでしょう。後者は、対象者の前向きな行動改善があまり見られない。定期的に実施しているもののマンネリ化してしまっている。などがあります。
失敗の原因
様々な原因がありますが、「実施することが目的となってしまっている」「対象者への結果返却に力を入れていない」の2つが大きいと言えます。
前者はそもそも実施目的が曖昧で、「トップからの指示」「同業他社がやっているから」など安易に実施してしまったことです。
後者は対象者への個人報告書を社内便やメール、イントラネットを通じて返却するだけで、きちんとフォローしていないことがあります。
「いまひとつ効果を感じなかった」という結果にならないためにも、気をつけたいポイントです。
※詳しくはこちらもご覧ください。
■360度フィードバック(360度評価)の活用事例
実施効果を高める秘訣
360度フィードバック(360度評価)の失敗について解説しましたが、ここでは360度フィードバック(360度評価)の実施効果を高める秘訣をご紹介します。
1つめは「実施目的を具体的に設定すること」です。
360度フィードバック(360度評価)の実施効果を高めるためにまず考えるべきことは「実施の目的を具体的に設定すること」です。
目的が曖昧なまま実施すると結果活用も中途半端になり、実際の行動改善につながりにくくなります。
2つめは「個人結果の返却に注意を払うこと」です。
360度フィードバック(360度評価)を実施したがあまり効果がなかった会社のほとんどは、個人結果をメールやイントラネットで返却するだけで終わっています。
結果返却を事務的に行ってしまうと、報告書にさらっと目を通すだけで終えてしまう対象者や無視する対象者もでてきてしまいます。
3つめは「継続的なフォロー施策」です。
いくら360度フィードバック(360度評価)を実施したとしても、時間の経過とともに意識は薄れてしまいます。取り組みを一過性のイベントにとどまらせるのではなく、何らかの「フォロー施策」を組み合わせることが重要です。
※詳しくはこちらもご覧ください。
■360度フィードバック(360度評価)導入・実施における主な手順
360度フィードバック(360度評価)の導入企業・事例
360度フィードバック(360度評価)は大企業を中心に多くの企業で実施されています。ここでは弊社がご支援させていただいた2社の取り組みをご紹介します。具体的な事例を知ることで、自社で実施する際のイメージを持つことができます。ぜひご参考にして頂ければと思います。
※「360度フィードバック_事例編」もございますので、ご希望の際はこちらまで。
■ソフトバンク株式会社
「自己と周囲の認識の差異確認」、「マネジメント力の向上」、「管理職の配置やアサインの参考資料」という、3つの目的のために、対象者を役員と管理職(部下なし管理職含む)とし、2007年から毎年進化させながら継続実施されています。
実施効果を高めるために様々な工夫をされており、特徴的なところとしては、求める管理職像を設定し、オリジナル設問を設計しています。2015年からは、会社として社員に求める「ソフトバンクバリュー」も設問に入れるなど、自社独自のオリジナル設問を設計し、自社の理念やバリューの浸透を図るなど、毎年進化させて継続実施されています。
また結果返却方法にも工夫を凝らしており、360度フィードバック(360度評価)の結果を活用した上司との面談を必須化し、MBOの進捗度、自己申告等と一緒に話し合いを行い、マネジメント力の向上のために有効活用されています。
■日本たばこ産業株式会社 R&Dグループ(研究開発部門)
「日本一仕事が面白い会社」という組織を実現するため、組織づくりの進捗状態を”見える化”すると同時に、管理職の具体的な行動変容も促すため、といったことを目的とし、管理職を対象として実施されています。
設問内容は、「対象者の状態」「チームの状態」「回答者である部下自身の状態」といった異なる視点で構成し、課題状況を踏まえてオリジナル設問を設計しています。
また、360度フィードバック(360度評価)の結果はフィードバック研修を通じて返却し、対象者本人が前向きに理解し、行動変容に繋げられるよう工夫がなされています。各組織トップも関与しながら、組織ごとに現状把握と改善行動を導くよう設計されているところも特徴のひとつです。
さらに、半年に1回のタイミングで実施され、管理職の行動変容による組織づくりの進捗状況を捉え、即時で適切な施策を打ち出すための施策として有効活用されています。
SDIコンサルティングのこだわり
◆360度フィードバック(360度評価)に専門特化
360度フィードバック(360度評価)の導入を成功に導くため、専門会社としてこだわりを持ってサービス提供しています。
これまで大手企業を中心に350社以上に携わることで習得した実践的な知見によって、導入を支援します。
◆オーダーメイド対応
お客様の人・組織における課題を解決すること。そのためには、各社に合わせたオーダーメイドであるべきだと考えています。
どの会社に対しても一律に使用している汎用設問ではなく、お客様のご要望、課題、ご事情などを踏まえた設問設計を大事に考えています。
また設問設計だけでなく個人結果の返却においても、フィードバック研修・説明会、場合によっては個人面談を組み合わせるなどして、対象者の行動改善を支援します。
SDIコンサルティングのカスタマーサービス
◆設問設計〜フィードバック研修まで一気通貫でのサービス提供
貴社オリジナル設問設計、サーベイ実施サポート、サーベイ回答の分析(報告書の作成)、実施結果を基にしたフィードバック研修の企画・実施まですべてをサポートいたします。
◆設問設計〜サーベイ実施+報告書の作成・納品までのサービス提供
貴社オリジナル設問設計、サーベイ実施サポート、サーベイ回答の分析(報告書の作成)といった、実施準備から結果分析までをサポートいたします。
◆フィードバック研修の企画・実施のみのサービス提供
貴社にて実施されたサーベイ結果を基にしたフィードバック研修の企画と実施などの、実施効果を高める取り組みをサポートいたします。
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